前例踏襲の思考パターンに陥る

同じように4桁と4桁の足し算に正答しても、別の4桁どうしの足し算で同じ答えをしてしまいます。

これが保続といわれる現象です。

ここから類推して、前頭葉というのは、新規のシチュエーションに対応する機能があるのではないかと考えられています。

老化によってさらに前頭葉の機能が衰えてくると、新規のことがなるべく起こらないようにする、つまり前頭葉をなるべく使わなくて済むようにするようになります。

たとえば行きつけの店にしか行かなくなるとか、同じ著者の本ばかり読むようになるというようなことが起こるのです。知的な活動を続けていても、それがルーティン化してしまいます。知能テストの点は1点も落ちなくても、思考の自由が奪われ、つい前例踏襲の思考パターンになってしまうわけです。

本を読む人
写真=iStock.com/Pituk Loonhong
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また加齢による老化でなくても、前頭葉の働きが悪い人は、なるべくこれまで経験してきた通り、学んできた通りの思考パターンとなり、想定外のことが起こるのを避けると考えられます。

「高学歴でもバカな人」を量産する大学入試面接

実はそういう人は、日本には意外に多いのではないかと私は考えています。

というのは、日本人は教育においても、社会に出てからも、前頭葉を使う機会が少ないシステムになっているからです。

これについては、正答を求め、また記憶量で勝負が決まる受験教育の弊害をあげる人は多いように思います。

ただ、人によっては教師の言いなりにならず、あれこれとやり方を試すことで受験を乗り切る人もいるので(私もその一人と自負しています)、これが必ず前頭葉に悪いとは思っていません。

また80年代後半以降のアメリカやイギリスでの教育改革では、日本の初等中等教育が彼らの変革のお手本になりました。

それよりも問題なのは、日本の大学教育でしょう。

入試の段階でも欧米の名門大学では面接が行われるわけですが、日本の面接と大きく違います。

大学の教授でなく、アドミッションオフィスのプロの面接官が面接をするのです。教授に面接をさせると、教えやすい大人しい子を選ぶからという理由だそうです。そして教授に議論をふっかけそうな、反骨心のある子が合格します。

日本では教授が面接するので、言うことを聞きそうな子が合格しやすいのが大きな違いです。

大学に入ってからも、日本では教授の言った通りのことをテストで再現できると優がもらえるのに対して、欧米では、どれだけ教授の言うことと違った自分の考えを表明できるかで成績がよくなります。

習ったことと違うことを答えるトレーニングが、前頭葉を鍛えるのです。