「最安の分け方」を私が勧めない理由

同じ財産、同じ家族構成でも、相続税の総額が1000万円以上変わることがあります。分かれ道は「一次相続での分け方」にあります。

上記のモデルケースは、お父様が82歳で他界され、その12年後にお母様が91歳で亡くなったご家族です。一次相続での分け方を3通り用意しました。お母様がすべてを受け継ぐ「妻に全部」、評価額の半分を受け継ぐ「法定相続分」、自宅と生活資金の現金だけを受け継ぐ「自宅+現金」です。

「妻に全部」を選ぶのは、お母様が全額を受け継ぐなら兄弟姉妹間で揉め事が起こりにくいことや、配偶者の税額軽減の大きさが決め手でしょう。一次相続時の相続税は0円です。「法定相続分」は「法律が定めた割合どおりに分けるのだから公平だ」という安心感から。相続税は917万円です。「自宅+現金」は暮らしに必要な分だけ残す考え方から。残りを先に移す分、二次相続で受け継ぐ財産は軽くなります。相続税は805万円です。

(構成=渡辺一朗)