ソチ・オリンピック&パラリンピックが開幕。オリンピックに関する意外な「法律」をご紹介しよう。

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かつては課税対象だったメダリスト報奨金

まずは、税制面での優遇だ。オリンピックのメダリストには、JOC(公益財団法人日本オリンピック委員会)から金300万円、銀200万円、銅100万円の報奨金が支払われる。一般に報奨金は一時所得とみなされて、所得税の課税対象になる。しかし、オリンピックまたはパラリンピックのメダリストへのJOCからの報奨金は非課税なのだ。このほか、JOC加盟の競技団体から報奨金が出るケースもあるが、これも金300万円、銀200万円、銅100万円までは非課税だ。

どうしてメダリストへの報奨金は非課税なのか。アディーレ法律事務所の鈴木淳也弁護士は次のように解説する。

「報奨金は一時所得ですが、表彰として贈られるもので課税になじまないため、非課税としたのでしょう。背景には、国民感情もあります。バルセロナ五輪で、当時まだ中学生だった岩崎恭子選手が金メダルを取ったとき、国民から『頑張ったのに報奨金に課税されるのはかわいそう』という声があがりました。それがきっかけで非課税になった経緯があります」

メダリストの「恩恵」はほかにもある。いまの時代、一流のスポーツ選手も引退後の生活が保証されているわけではなく、場合によっては借金して返済に困ることがあるかもしれない。しかし、その場合もメダルは差し押さえられない。

「選手が自分の意思で、メダルを担保にしてお金を借りたり、売却して借金の返済に充てるのは自由です。しかし、民事執行法131条には、差し押さえできないものとして『債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物』があげられています。債権者が民事執行の申し立てをしても、例外はあるもののメダルが取りあげられることは基本的にはありません」(同)

メダリストが受けられる法的な恩恵は、この2つだけ。お隣の韓国では、国際大会の成績によって兵役が免除される。それと比べると、少しさみしい気がしないでもない。