オリンピックに関して、応援する側が知っておくべき法律もある。昨年の東京オリンピック開催決定時、「おめでとう東京」「日本選手、目指せ金メダル!」などの言葉の商用利用について、JOCが知的財産権の侵害にあたると警告を出したという報道があった。この主張が正当なら、一般企業はもちろん、アフィリエイトで稼ぐ個人ブログも、迂闊に選手を応援できなくなるおそれがある。
「オリンピック」や「OLYMPIC」など、JOCやIOC(国際オリンピック委員会)が登録している商標を使ってはいけないというなら理解できる。しかし、商標登録されていない「おめでとう東京」まで、どうして制限されなくてはいけないのか。鈴木弁護士の見解はこうだ。
「商標登録されていなくても、JOCスポンサーだと混同させる行為は不正競争防止法違反になりえます。ただ、小さな商店や個人が『おめでとう東京』といって集客しても、JOCスポンサーだと誤解する人はいないでしょう。最終的には裁判所の判断ですが、一般的な感覚ではセーフじゃないでしょうか」
スポンサーの権利を守りたいというJOCの考えもわかるが、オリンピックはスポンサーだけのものではない。もう少し気楽に応援させてほしいものだ。
(図版作成=ライヴ・アート)