大企業と中小企業で「二極化」が鮮明に

つまり、いまの日本経済は、政府が重点を置く一部の戦略分野と大企業に投資が集中する一方、その他大勢の中小企業は先行き不安から投資に踏み切れずにいるという、二極化した姿をすでに見せているのです。財源難を理由に政策の的をさらに絞り込めば、この二極化はいっそう鮮明になるでしょう。恩恵を受けるのはAIやデータセンター、エネルギー関連といった、もとから勢いのある分野に集中し、先行き不安を抱える中小企業への目配りは、後回しにされかねません。地方への配慮を欠かせない連立相手・維新の顔を立てながら、限られた財源を成長分野に厚く配分するという綱渡りを、高市政権はこれから同時にこなしていかなければならないのです。

こうして見ていくと、今回の内閣改造で政権の骨格をほとんど動かさなさそうな高市さんの判断には、腑に落ちるものがあります。財務大臣・片山さん、外務大臣・茂木さん、防衛大臣・小泉さん、官房長官・木原さん、そして党の副総裁・麻生太郎さんと幹事長・鈴木俊一さん。いずれも留任・続投の方向とされています。鈴木さんは麻生さんの義弟にあたり、党内で唯一の派閥を率いる麻生さんの支援を維持することは、来年秋に予定される総裁選をにらんだ布陣でもあるとされます。

この先、数カ月が高市首相の正念場

派手な人事で支持率回復を狙う場面ではない、というのが官邸の判断なのでしょう。むしろいま必要とされているのは、対米交渉の蓄積を持つ片山さんのような実務家であり、限られた財源のなかで政策の優先順位をつけ直す、地味で骨の折れる作業に耐えられる体制なのだと思います。看板を替えるより、看板を守り抜ける人を替えない――今回の人事の本質は、その一点に尽きるのではないでしょうか。

とは言え、枝葉のところの改造で済ませるのならこの時期に人事やる必要って特になかったんじゃないか問題は見え隠れします。総理がどうしたいのか、イマイチよくわからないんですよね。

今回、内閣改造が想定される9月16日から18日という日程は、日銀の金融政策決定会合が開かれる9月17日、18日とほぼ重なります。政治の日程と金融政策の決定が同じ週に集中するのは、偶然にしてはできすぎています。改造直後には総理自身が国連総会出席のため訪米する予定もあり、そこでベッセントさんとの間接的なせめぎ合いが再燃する可能性も十分にあります。さらに秋の臨時国会では、消費減税の関連法案の早期成立も控えています。財源の具体像がどこまで国民に示せるかは、法案審議そのものの行方も左右するでしょう。

外圧と内なる財源の壁に挟まれた高市政権が、「責任ある積極財政」という看板をどこまで掲げ続けられるのか。片山さんという同じ顔ぶれを対米交渉の最前線に据え続けたこと自体が、高市さん自身、この先の数カ月がこれまでとは質の違う正念場になると見ている証拠なのかもしれません。その答えの一端は、9月半ばのこの1週間に凝縮されることになりそうです。

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