長期金利が30年ぶりに3%台に

米国債市場を守るという、切実な事情の背景として、日本の長期金利が9月1日、1996年以来およそ30年ぶりに3%台へ乗せたことも重要なポイントになります。もちろん、世界的に見れば日本の金利はなお絶対的に低いという判断もあります。他方で日本の政府債務残高は、国と地方を合わせた一般政府の総額で約1400兆円に達するわけで、長期金利が上がれば国債償還の利払いで30兆円、40兆円と罰ゲーム利息を支払わされることになります。いきなり利払いが上がるわけではありませんが、国債を償還し再度調達するごとにこの金利が乗るわけですから、日本の財政にとっては一大事です。

そして、日本国債の利回りが十分に魅力的な水準まで上がれば、米国債を保有してきた日本の機関投資家が資金を国内へ戻す「ホームバイアス」が強まりかねません。日銀の植田総裁は8月末のジャクソンホール会議を欠席し、タカ派として知られる審議委員・田村直樹さんを代わりに派遣しており、市場はこれを警戒材料として受け止めました。9月17日、18日に開かれる次回会合では、0.25%の利上げが8割方織り込まれています。片山さんの留任は、単なる政権の骨格維持というより、この綱引きの最前線に立てる人材を代えない、代える相手もいまのところいないという判断でもあるのだと思います。

「長期金利」というニュースの見出し
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高市政権の手足はすでに縛られている

もっとも、この状況を過度に悲観する必要はないという見方もあります。長期金利3%という水準は、バブル崩壊直後の1990年代と比べればなお低く、超低金利からの正常化そのものはむしろ健全だと捉えるエコノミストも少なくありません。ベッセントさんの発言についても、日本一国を狙い撃ちにしたものではなく、世界は借金まみれであり成長によってその重みを薄めるしかないという、トランプ政権自身の経済哲学の延長線上にあるという整理もできます。世界的に金利が上がっていますしね。

とはいえ、そうした理屈の是非とは別に、市場が実際にどう反応するかという一点において、高市政権の手足はすでに縛られ始めているというのが実情でしょう。しかも厄介なのは、ベッセントさんの求めに応じて日銀が利上げのペースを速めれば速めるほど、高市政権自身の財政運営も苦しくなるという点です。長期金利が上がれば、国債の利払い費はそのまま膨らんでいきます。外圧をかわすために金利上昇を受け入れることが、消費減税の財源をひねり出そうとしている当の財政運営を、さらに圧迫するという、なんとも皮肉な悪循環がそこにはあるのです。