米紙が報じた経済政策への不満爆発
その後、9月1日になって、5月に来日した際の片山さんとの夕食会で2時間以上、高市政権の経済政策への不満をぶちまけていたという米紙ニューヨーク・タイムズの報道が表面化してしまいました。9月3日には、同紙の報道について問われ「問いただされたことはない」と否定しましたが、私的な圧力から公式な要求へと、この3カ月半で確実に格上げされているわけです。
市場はこれに素直に反応しました。もともと7から8月にかけての円買い介入は、総額15兆円と過去最大になったと財務省が発表しましたが、その後、9月2日から4日にかけてドル円は5円を超える急速な円高となり、一時155円台まで進みました。円高の材料には、ベッセントさんの発言に加え、片山さんや植田さん自身の発言、そして年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をめぐる思惑報道も重なったとされます。要は、日本とアメリカの金融当局は然るべき信頼関係をもって日米で協調して円買い介入や政策調整をしますよと示したことになります。
ベッセント発言は実弾の為替介入に匹敵
片山さんは7月にも、年金基金による国内資産投資を後押しする考えを示し、その際もドル円が急落しました。GPIFはおよそ400兆円規模の外国債券・外国株式を含む資産を運用する世界最大級の機関投資家です。海外の為替ストラテジストの間では、GPIFが外国債券を売って日本国債を買う方向に舵を切れば、日本への資金環流という大きな流れの始まりを示すシグナルになり、円にも日本国債にも強気の材料になるとの見立てが語られています。
実際にそこまで踏み切るかどうかは別として、片山さんの一言だけで市場がここまで反応してしまうこと自体、いまの為替相場がいかに神経質な状態にあるかを示しています。つまり、ベッセントさんの発言そのものが、実弾の為替介入に匹敵するほどの威力を持ってしまっているということです。そして、これらの円買い介入の原資が日本の外貨準備の相当な割合を占めるアメリカ国債の売却だったことも改めて判明しました。ベッセントさんの日本への内政干渉とも取られかねない強い態度を示した背景には、アメリカ国債にまつわるさまざまな難題を解決するパーツのひとつが「過剰な円安状態の解消」にあったからに他なりません。

