もう、ビールをあげちゃダメ!
デボの家では、ツキノワグマは犬小屋のようなものを作って屋外で飼っていた。子グマだけに、夜になると心細くなって悲しい声で鳴き出す。親と引き離されているのだから無理もない。
中学生だったデボは、子グマが不憫でならなかった。家の中に入れてやりたいと願ったが許されない。30分ほど鳴き続けると、子グマは諦めて寝てしまう。その間デボは、「早く泣きやんでくれよ」と毎晩のように祈り続けた。
たまに観光客がジュースをあげると、子グマは喜んで飲んでいた。そのうち、ふざけてビールをあげる人も出てきたが、子グマはビールも大好きだった。
「もっとくれ、もっとくれ」と人間にせがむ。たくさん飲めばクマでも酔っ払う。機嫌が良くなり、朝まで「ブボブボブボッ」と歌う。翌日、近所のおばあさんに「クマがうるさい! もうビールをあげちゃダメだからね!」と怒られたこともあった。
心を込めてかわいがり、たくさんの思い出を残してくれたツキノワグマだったが、1年もしないうちに、またどこかに売られていってしまった。
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