聞き手に合わせて視点とたとえを変える
あるビジネスリーダーが「変化の時代に、学び続ける力が人生を支える」というテーマで講演を頼まれたとしましょう。話す内容の本質は同じでも、聞き手が違えば、事例やエピソードも変えなければ言葉は届きません。
たとえば、60代以降のシニア女性が多い場ではどうでしょうか。この世代に、ビジネストレンドやマーケティングの話をしても、なかなかピンとこないかもしれません。ここでは、「生活実感や人生経験に寄り添う内容」のほうが共感されるでしょう。
具体的にどんな話になるか、私ならこんなふうに始めます。
「体と同じで、頭や心も使わないと少しずつ衰えてしまいますよね。
でも、毎日少し散歩をすると足腰が元気になっていくように、新しいことを少し知るだけで、脳もちゃんと若返るんです」
このように、学びを「勉強とか努力」ではなく、「これからの人生を快適に過ごすための知恵」として伝えることで、60代以降の女性たちも、「自分の話」として受け取りやすくなるはずです。
Z世代に「正解の押し付け」は拒否される
これがビジネスパーソン向けなら、また別のストーリーを用意する必要があります。
たとえば、仕事における成果と再現性、そして、リスクについて話してみるのはどうでしょうか。たとえば、こんな感じです。
「変化の早い時代では、学ばないこと自体が最大のリスクになります。
コロナ前に正解だったやり方が、コロナ後には通用しなくなりました。
そんな場面を多くの人が経験しているはずです。
過去の実績があるが故に、変化に気づきにくくなることもあるでしょう」
ここからAIの話に展開してもよいかもしれません。学びを単なる自己啓発ではなく、「あなたのキャリアを守る戦略」として示すことで、聞き手の集中力は一気に高まるのではないでしょうか。
さらに、Z世代向けに話すならどうでしょうか。
私も今、大学でまさにZ世代に教えていますが、正解を押しつけるような話をすると、ほぼ確実に拒否されます。
Z世代が好む「共感と選択肢」を提示してみましょう。
「アプリやゲームは、アップデートしないと使いづらくなりますよね。
これは人も同じです。
学ぶって、『選ぶことができる自分』でいるために必要なんです。
選択肢が多ければ多いほど、仮に環境が変わったとしても対応しやすくなります」

