AI「を」進める組織から、AI「と」進む組織へ

小林祐児『職場の対話はなぜすれ違うのか』(光文社新書)
小林祐児『職場の対話はなぜすれ違うのか』(光文社新書)

本稿で見てきたことを整理しておきたい。AIによって上司の負荷の中身は入れ替わった。成果物の確認と評価という重い仕事が増える一方、日常の相談という軽い接触は失われつつある。そして、部下の成果に効くマネジメント行動そのものが変わった。入口と出口を押さえるゲートキーパーから、部下とAIのループを調律するチューナーへ。

このように見ると、AIがもたらしたのは、上司の仕事の変化ではない。人の育て方と評価の仕方を、組織として引き直す必要のほうである。

AIの利用の仕方やリテラシーを普及させ、AI「を」一歩先に進めるフェーズから、AI「と」先に進むフェーズへかわりつつある。AIはとてつもなく便利な道具であるが、その真価も副作用も、使う側の人と組織に大きく依存する。「を」から「と」への移行が進まないとき、いま積み上げられている投資は、そう遠くない未来に「過去の失敗」として語られることになりかねない。

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