AIを使って結果を出す人と、出せない人の違いはどこにあるのか。パーソル総合研究所主席研究員の小林祐児さんは「同じようにAIの利用頻度が高くても、スキルの違いで成果には3倍もの差が出ることがわかった。その違いは5つの“メタ・スキル”の有無で決まっている」という――。
AIの登場で「優秀さ」の意味が変わった
「自社にもAIを使いこなせる人材が必要だ」
この数年、生成AIの普及とともに、あらゆる企業が他社に置いていかれまいと、こぞって「AI人材」を育成してきた。そのために研修が組まれ、活用事例が共有され、学習コミュニティが作られ続けている。だが、その「使いこなせる人材」とは、具体的にどういう人なのだろうか。プロンプトが上手な人だろうか。新しいツールにすぐ飛びつく人だろうか。AIを使っても、「成果」がでない人材はそこに当てはまるのだろうか。
「AI時代に人に残っていく価値」は、近年様々に語られてきた。しかし、「問いを立てる力」などの直感的で曖昧な言葉が繰り返され、実証的な議論のベースはほぼ皆無に等しい。そこでパーソル総合研究所が実施した「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」では、AI時代におけるハイパフォーマーと組織マネジメントの姿を定量的に抽出した。
その分析からは、同じようにAIをヘビーに使っている人でも、成果には3倍以上の開きが生じていた。この差は、どこから来るのか。本稿では同調査データを用いてその輪郭を実証的に描き出したい。結論を先に言えば、これまで私たちが「優秀さ」と呼んできたものの中身が入れ替わってきつつある。
比較の起点として、AIを業務で使っていない層のハイパフォーマー像と、AIのヘビーユーザー層でのハイパフォーマー像を比較する。ここでのハイパフォーマーの定義は、目標達成や役割の遂行などの業務成果を出している人だ。また、AI環境においてはAI活用度のレベルも加味して測定している。


