大井町と似ているJR中央線のある駅

各社の路線どうしの1日平均の乗換者数も見ていきたい。JR東日本と東急電鉄とでは5万2959人、JR東日本と東京臨海高速鉄道とでは9303人、東急電鉄と東京臨海高速鉄道とでは1万8264人で合計8万525人となり、こちらも正味4万263人となりそうだ。

各社の大井町駅の乗降者数の一部には各社どうしの乗換者数も含まれていると見られるが、見当が付かないので無視することとした。したがって、大井町駅に鉄道で訪れる人たちの数は乗降者数と乗換者数とを合わせて1日平均19万1241人と考えられる。

単に人数だけ列挙してもイメージはわきづらい。東京郊外のターミナルとして同様の規模の駅を探すと、JR東日本中央線と京王電鉄井の頭線が発着する吉祥寺駅が挙げられる。2019年度の1日平均の乗降者数はJR東日本が24万0142人、京王電鉄が7万5446人で、合わせて31万5588人、両社どうしの乗換者数が4万4225人であった。合計35万9813人だ。

吉祥寺駅
写真=iStock.com/winhorse
※写真はイメージです

例によって大多数の人たちは吉祥寺駅を1日2回通過すると考えて、正味17万9907人となる。吉祥寺駅の周辺には多数の商業施設が軒を連ねており、大規模な投資も行われてきた。そうした実績を加味すると、JR東日本による大井町トラックスへの投資は過大ではないと言えそうだ。

技術系社員150人を増やす背景

ここまで長々と大井町トラックスの概要を記したが、筆者はここ数カ月、鉄道事業に関心のある読者から、JR東日本の事業に対する複雑な心境、いまどきの言い方ではモヤモヤとした気分があると聞いている。

モヤモヤの正体の一つは、JR東日本が不動産やホテル、ショッピングモールといった事業に熱心で、本分である鉄道事業が疎かになっているのではないか、という点だ。

大井町トラックスにあるホテルメトロポリタンのトラックスビュー・スイート(バルコニー付き)ベッドルーム
画像提供=東日本旅客鉄道
大井町トラックスにあるホテルメトロポリタンのトラックスビュー・スイート(バルコニー付き)ベッドルーム

JR東日本の各線では2026年に入ってすぐの1月から2月にかけて大きな輸送トラブルを頻発した。1月16日には山手線と京浜東北線とで、1月30日には常磐線で、2月8日から翌9日にかけては東北線でそれぞれ停電トラブルを起こしている。また、2月2日には京葉線の八丁堀駅でエスカレーター火災を発生させた。いずれの輸送トラブルでも多くの旅客に影響が出て、JR東日本への信頼は低下した。

一連のトラブルを受け、JR東日本は2026年5月8日に「お客さまに安心してご利用いただける鉄道輸送の構築」と題して、今後の対策を公表した。そのなかで、同社は2027(令和9)年度の技術系社員の採用数を従来の計画より約150人増やすという。

輸送トラブルで大変な目に遭った経験を持つ読者各位にとっては、「技術者をいまごろ増やすのか」とか「新規採用を増やさなくても、多数保有している子会社にいる人たちを呼べばよい」とか怒りをぶつけた人も多いはずだ。「不動産事業にうつつを抜かさないで鉄道事業をもっと一生懸命やってほしい」という声は筆者も多くの人からうかがった。