際限なく延びる子どものスマホ使用
先日、夕食の準備をしていたときのことです。
中学生の娘が宿題を広げながらスマホを手放しません。
「調べ物をしているの?」と聞くと、「うん」と答えましたが、クスクス笑いながら画面を見ている姿は、とてもそうは見えませんでした。
数分後「お母さん、聞いて。○○(友人の名前)が言ってるんだけどね、すごくおもしろいの!」と話し始め、メッセージのやり取りをしていたのだと悪びれることもなくあっさり白状しました。
「やっぱり……」と思う一方で、「実際今の子どもたちはどのくらいのスマホ利用時間を勉強以外にとられているのだろう」と気になりました。
実は友人からも「うちの子も『調べ物をしている』と言いながらメッセージや動画に夢中になっていることがしょっちゅうあるよ」という話はよく聞きます。
最初は英単語を調べていたはずなのに、通知が来てついLINEやSNSを開いてしまう。休憩のはずで見始めた動画がやめられなくなり、延々と見続けてしまう。学習と娯楽や交流、それが同じ端末にあるからこそ、切り替えが難しいのです。
目の前の端末に「しなければいけないこと」と「今すぐしたいこと」が一緒に詰まってせめぎ合っているから、子どもたちもいつも揺らいで、そして葛藤しているのだと思います。
「1日2時間まで」条例ができた
毎日診療をしていると、頭痛や倦怠感を訴えて来院する小・中学生に多く出会います。
必ず問診で「毎日何時間スマホやタブレットを使っていますか」と聞きますが、「色々制限はしているのですが、実際どのくらい使っているか全ては把握できていません」とおっしゃる親御さんも少なくありません。
「学校にいる間はスマホをロッカーにしまうこと」という規則がある学校も多いかと思いますが、先生に預けるわけでないのであれば、きっと使おうと思えば使えてしまうでしょう。
現在、子供のSNS・スマホの利用を制限する動きが世界的に広がっています。
昨年12月には、オーストラリアで16歳未満のSNS利用を禁じる法律が施行されました。インドネシア、マレーシアなどのアジア圏、また、フランス(15歳未満)、スペインなどヨーロッパでも規制に向けた動きが進んでいます。
日本も例外ではありません。愛知県豊明市では、子どもたちを中心としたスマホの過剰使用を防ぎ、睡眠時間を確保することなどを目的に、余暇での使用を1日2時間以内とする目安などを盛り込んだスマホ条例が2025年10月より施行されています。
条例自体は市民全体を対象としていますが、その中でも特に青少年の健やかな生活習慣を守ることが大きな狙いとされています(小学生以下は午後9時まで、中学生以上は午後10時まで)。
罰則も強制力もないものの「私的な時間に行政が踏み込みすぎ」、はたまた「効果が乏しい」といった批判もあり、それぞれに納得する面もあります。家庭ごとに事情も価値観も異 なる中で、一律の「目安」を行政が示すことに違和感を覚えるのは自然なことです。
それでも、市長が強調した「各家庭で話し合うきっかけに」という点にはやはり一定の意味があると感じます。押しつけとしてではなく、あくまで対話の入口として受けとめるのであれば、このような取り組みが社会全体で子どもたちのスマホとの向き合い方を考える契機になる可能性もあるでしょう。


