JR京葉線では、ダイヤの改正を巡って沿線の自治体から不満が相次いでいる。鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは「JR東日本は快速や通勤快速の削減や廃止に対して、3つの理由を答えている。それらは合理的な判断なのか。感情的でなく理論的に調べてみた」という――。
京葉線は「ダイヤ改正」なのか「ダイヤ改悪」なのか
全国の鉄道路線でこの1年に最も話題となったものの一つはJR東日本の京葉線であろう。
京葉線は東京駅と蘇我駅との間の43.0キロメートルを結ぶ。さらに、途中の市川塩浜駅から西船橋駅までの5.9キロメートル、それから西船橋駅から途中の南船橋駅までの5.4キロメートルの支線があり、合わせて54.3キロメートルで営業を実施する首都圏有数の通勤路線である。
その京葉線では2024(令和6)年3月16日のダイヤ改正から快速や通勤快速が減少または廃止となると発表され、同時に利用者や沿線の関係者から戸惑いの声が上がった。その後、沿線の自治体からはJR東日本に対して改善を申し入れる事態にまで発展したのだ。
いったいどの程度の変化が生じたのか。平日の東京駅に到着する列車を例に説明しよう。対象となるのは運賃だけで乗車可能な列車で、特急列車は除いている。
10本に1本は快速だった
ダイヤ改正前まで、つまり2024年3月15日までは各駅停車、快速、通勤快速と合わせて1日194本の列車が運転されていた。
これらのうち、快速は東京駅~蘇我駅間で途中16駅あるうち9駅、具体的には次項の図表1のとおり八丁堀、新木場、舞浜、新浦安、南船橋、海浜幕張、検見川浜、稲毛海岸、千葉みなとの各駅に停車する。本数は23本、全体に占める割合は11.9パーセント。
途中新木場駅だけに停車する通勤快速は2本、1.0パーセントだ。残る169本、87.1パーセントは各駅に停車する。
快速、通勤快速は東京駅~蘇我間を通して運転される一方、各駅停車の一部は途中駅で折り返しとなるものも多い。
まとまったグループとして挙げられるのは武蔵野線から西船橋駅、市川塩浜駅を経由して乗り入れる各駅停車で57本、全体に占める割合として29.4パーセントが存在する。