普通に考えれば快速を増やすべきでは…

続いては各駅停車のほうが乗車率が高かった場合だ。図表2からも示されるとおり、京葉線の大多数の駅における2023年度の乗降者数は2019年度と比べて減っていて、減少率が大きかったのは18.7パーセントの海浜幕張駅を筆頭に15.5パーセントの新木場駅、13.7パーセントの八丁堀駅と快速の停車駅が目立つ。

各駅停車だけが停車する各駅の乗降者数は減少率12.8パーセントの新習志野駅を除けばそう大きく減ってはいないので、相対的に各駅停車の比重が高まっている点はうなずける。

だが、そうは言っても2023年度の実績でも快速の停車駅と各駅停車のみ停車の駅との乗降者数の差はいまも大きい。

となると乗降者数の多い駅どうしを移動する快速の利用者が依然として多いと思われる。東京駅に停車する列車の大多数が各駅停車という状況で、快速の乗車率が著しく低いという状況を筆者は想像しづらい。

2番の回答について筆者は答えを出せなかったことをお許しいただきたい。

ダイヤ改正で起きた不可思議な現象

3番の「京葉線の利用者数は減少傾向にあり、列車を間引く必要がある。しかし、快速の本数を維持したまま列車を間引くと、快速通過駅では列車の運転間隔が広がりすぎて不便となるから」は確かにそうであろう。

しかし、限度はある。乗降者数の少ない駅に配慮しすぎて全体の利便性を損ねては意味がないからだ。

京葉線の各駅で最も乗降者数の少ない二俣新町駅では2024年3月16日のダイヤ改正まで、日中の11時台から15時台までにおける東京駅方面の列車の運転間隔が最長22分となっているケースが見られた。

京葉線の新木場駅付近で離合するJR東日本E233系5000番台(各駅停車)および209系500番台(快速)
京葉線の新木場駅付近で離合するJR東日本E233系5000番台(各駅停車)および209系500番台(快速)(写真=MaedaAkihiko/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

二俣新町駅にはこれらの時間帯に1時間当たり4本の各駅停車が停車しているので、本来であれば運転間隔は等間隔の15分間隔が望ましい。運転間隔が延びているのはその間に快速が運転されているからというのはわかるのだが、それではダイヤ改正でどうなったのか見てみよう。

2024年3月16日のダイヤ改正では多少改善されて最長19分間隔となり、2024年9月1日のダイヤ見直しでは1分延びて20分間隔となっている。

不思議なことにこれらの時間帯では快速の本数は一貫して1時間当たり2本であり、各駅停車の本数は4本とこちらも変化はない。JR東日本がなぜこれらの時間帯に快速の本数を減らさなかったのかの理由は不明だが、やはり快速の利用者が多いからに違いない。