むしろ利用者が増えている
外房線、内房線から京葉線に乗り換える人たちは年を追うごとに減ってきたのであろうか。何年分も紹介すると読むのも大変なので2010年度と2019年度の1日平均の利用者数を挙げる。
まず外房線勝浦駅方面から蘇我駅に到着する利用者数について。
図表3にあるように、2010年度と2019年度とを比較すると、蘇我駅に到着する外房線の列車の利用者数は6万3944人から6万2113人へと減ったものの、京葉線に乗り換える人は1万4271人から1万4812人へと541人増えていることがわかる。
続いて、内房線上総湊駅方面からでは蘇我駅に到着する利用者数について。
図表4にあるように、2010年度と2019年度との比較では、内房線全体の利用者数は5万8562人から5万7756人へ、京葉線に乗り換えた人の数は1万2193人から1万1848人へと、ともに減っている。
通勤快速は停車駅が限られていたので廃止はやむを得ない。それはそうとして、京葉線と外房線との直通は利用者数が増えているようだし、京葉線と内房線との直通もそう大きく数を減らしているのではないので、京葉線内では停車駅を増やした快速としてこれまでどおり走らせていてもよいだろう。
快速の乗車率が各駅停車を上回るのは当然
続いて2の「快速と各駅停車との乗車率の不均衡を解消するため」に進もう。
実を言うと、快速と各駅停車とでどちらのほうが乗車率が高いのかはわからない。筆者がJR東日本に問い合わせてもいまひとつはっきりとした回答が得られなかったのだ。
仮に快速の乗車率が高かったとしよう。図表2のとおり、快速は乗降者数の多い駅を選んで停車しており、快速の利用者もまた乗降者数の多い駅を目指すケースが多いと思われるから、快速の乗車率が各駅停車を上回るのは当然だと言える。この場合、快速を減らすのではなく、むしろ快速を増やさなくてはならない。
東海道新幹線では、筆者の計算で平日に毎日運転される新大阪駅方面、東京駅方面の列車が314本存在する。うち、途中品川、新横浜、名古屋、京都の各駅に停車する「のぞみ」が164本、全体に占める割合は52.2パーセントと過半数を占める。主要駅停車の「ひかり」が65本、20.7パーセントで、各駅停車の「こだま」は85本、27.1パーセントに過ぎない。
もしも東海道新幹線の「のぞみ」の乗車率が「ひかり」「こだま」よりも高くなったらJR東海はどうするであろうか。言うまでもなく、「のぞみ」の増発である。ましてや「のぞみ」を削減したり、廃止してすべてを「こだま」とする策を採るはずがない。