日本は「セーフヘイブン」として再評価
4.「安全資産」として選ばれる日本
中国が自らの手で首を絞め、自滅していく一方で、世界中から「安全な避難所(セーフヘイブン)」として再評価されているのが、我らが日本です。
日本が急に、世界をひっくり返すような大発明をしたわけではありません。中国に対して何か攻撃的な罠を仕掛けたわけでもありません。日本の最大の強みは、「政治が安定していること」「法律や契約がしっかり守られること」という、私たちが普段当たり前だと思っている「安心感」にあります。
世界中のお金やグローバル企業は、必ずしも「日本が大好きだから」日本に来るわけではありません。彼らは単に、ビジネスの邪魔になる「リスク(危険)」を極端に嫌うだけです。中国のように「明日、突然政府の機嫌次第でルールが変わるかもしれない」という予測不可能な国よりも、ルールが明確で、約束が守られる日本のほうが、安心して長期的なビジネスができるのです。
台湾の半導体製造の世界最大手「TSMC」が、巨額の資金を投じて熊本県に巨大な工場を建設したのも、まさにその象徴です。世界で最も重要な部品である半導体の工場を、政治的に安定した民主主義国家である日本に置くことを選んだのです。日本は、中国が勝手に自滅していく嵐の中で、安全で明るい港を提供することで、結果的に「地政学的な漁夫の利」を大きく得ている状態だと言えます。
5.本当の強さは「自由」と「ルール」にある
この一連の物語からハッキリと見えてくるのは、2つの全く異なる社会モデルの鮮烈な明暗です。
数年前まで、国がすべてをトップダウンで強力に押さえつける中国の「権威主義的な国家資本主義」は、意思決定が早く、効率が良い最強のシステムだともてはやされました。しかし、そのモデルは今、完全に分厚い壁に激突しています。国がコントロールを強め、人々を縛り付ければ縛り付けるほど、経済の活力は失われ、自らの首を絞める結果になっています。
一方で、かつては「変化が遅い」「停滞している」と散々バカにされた日本の「自由な市場と法の支配」に基づくシステムは、今になって、そのブレない安定感と永続的な強さが世界中で再評価されています。
読者の皆さんにぜひ知っていただきたい、最も痛快な事実はこれです。日本の中国に対する最大の武器(競争優位性)は、特定のすごい技術や製品ではありません。私たちが空気のように当たり前だと思っている「自由で民主的な制度」そのものが、最強の武器なのです。
中国が自らの過剰な統制によって最大の敵となり、自滅していくのとは対照的に、日本は何か特別な奇策を弄する必要はありません。ただ自らの「自由」と「ルールを守る」という原則に忠実であり続けるだけで、静かに、しかし確実に、世界という舞台で勝利を収めつつあるのです。


