一流に勝つための「たった1つの方法」
――お話を伺っていると、「自分が最も成長できる場所」を選ぶというキャリアの軸が一貫していると感じます。それはどこで培われたのでしょうか。
原点は大学(早稲田大学)の軟式テニス部ですね。当時はインターハイ優勝級のプレーヤーが推薦で入ってきて、一般入試の自分とはまるでレベルが違う。ところが3年、4年とまじめに努力していると、だんだん差が詰まってきて、最後はレギュラーを勝ち取ることができた。そんな経験をさせてもらいました。平凡な人間でも一流と戦えるようになるんだ、と。
だから、HBSでもマッキンゼーでも、その後のものの考え方はすべて一緒です。上を見れば、自分とのギャップが見える。それを「埋められるギャップ」だと思えるか。自分にそのポテンシャルがあると信じられるか。その違いだけなんですね。
――「自分のポテンシャルを信じろ」と言われても、難しいと感じる人は多いのではないでしょうか。
そういうときに、周りが信じてあげて、チャンスを与える。そして、結果を出させ、自信をつけさせる。そういう経験が必要だと思います。
若い頃の私が、まさにそうでした。社運を左右すると言ってもいいトルコのIPPの事業運営を、入社5年目の私に任せるかどうか、という話になった。そのとき、私の直属の課長は部長に対して「大本にはまだ無理です」と言いました。私をよくわかっているからこそ、そう進言したんです。それを聞いている私も、心の中では「たしかに自分には無理だろうな」と思っていた。
「大本に任せてみよう」その一言が人生を変えた
ところが、それを聞いた部長がこう言ったんです。
「どうして? 今までの働きぶりを見たら、十分にポテンシャルあるじゃん。だから任せてみようよ」
涙が出るほど嬉しかったですね。この人は自分を信じてくれたんだ、と。あの瞬間が、私の人生を変えたといっても過言ではありません。
部長が自分のポテンシャルに賭けてくれたのだから、それをなんとしても証明しなければいけない――もう気合いが入りまくりで、毎日、朝の4時まで仕事に没頭していました。
――最後に、今の若手にメッセージを伝えるとしたら。
私自身、20代から30代前半を過ごしたトルコでは、本当にすばらしい経験をさせてもらいました。でも、もしその成功の延長線上で「自分が次に行けるレベルはこのあたりだろう」と考えていたら、30代でHBSに行くことも、アブダビの案件も、マッキンゼーへの転職も選んでいなかったと思います。
しんどくても、少し背伸びをしなければ届かないところをずっと目指してきた。だから、20代の自分に見えていた延長線よりは、ちょっとだけ高いところまで来られた。そんな感覚があります。もちろん、失敗もたくさんしていますけどね。
ですから、過去がどうであろうと自分のポテンシャルを信じて、過去の延長線上ではなく一段高いところを目指してほしい。その心の持ちようで人生は変わると思います。
まぁ、こんなことを言うと「熱すぎる」「昭和だ」と思われるので、注意はするようにしているんですけどね。



