年収4割カット!JALにも求める正社員化の動き

「ANAの今回の試みを歓迎したい。私たちが長年、求めてきたことであり、さらに広がることを求めていきたい」

日本航空キャビンクルーユニオン副委員長の前田環氏はベテランの客室乗務員らしく、落ち着いた口調で話す。同世代の客室乗務員の大半は退職し、数百人いた同期生は数人になった。

前田氏は、「客室乗務員は機内の安全を守る、保全業務に深く関わる以上、チームワークが非常に重要。そのためにも、正社員の雇用であるべき」と繰り返し、こう続ける。

「JALは当初、契約社員を3年で雇い止めにする制度だった。私たち労働組合は安全を守るためにも、国会への働きかけを強め、運動を展開した。署名は短い間に10万人を超え、3年後の正社員化が実現された」

一方で、さらなる合理化が始まることに警戒する。JALの客室乗務員の年収は、20年ほど前の水準に戻ったと打ち明ける。10年1月、JALが会社更生法を申請した後、前田氏の年収は4割がカットされたという。

今は基本給に、業務に伴う手当(時給1000円)が上乗せされる給与形態く姿を見るのが、忍びないという。

「私が客室乗務員になった頃から、基本給は低く、それを諸手当で補う形になっていた。有価証券報告書によると、20年前、平均年収が680万円だったのが、今や450万前後。人事制度の改定もあるが、手当を削減されたり、廃止にされたことが大きい」

世界の航空会社では、客室乗務員は契約社員が増えているといった指摘には疑問を投げかける。

「正社員雇用を続ける会社も少なくない。双方は、拮抗していると私は見る。JALでも、正社員雇用を始めることを求めていきたい」