「業績×ポテンシャル×実践度」で人材を評価する

GE(ゼネラル・エレクトリック)といえば、エクセレントカンパニーであると同時に優秀人材の輩出企業として知られる。年間10億ドルを費やす人材育成の仕組みは多くの企業のモデルとなるほど有名であるが、ここでは元GE人事部出身の2人の証言から育成現場の生の姿を紹介したい。

1人は大政コンサルティングオフィス代表の大政和郎氏、もう1人はリシュモン ジャパン人事本部長の伊藤善廣氏。ともにGEキャピタルの金融部門の元人事部長だ。

育成の中核となるのが「セッションC」と呼ばれる後継者の育成・配置のための人材評価の仕組みだ。縦軸に業績レベルを3段階、横軸にポテンシャル(潜在能力)のレベルを3段階に分けた計「9ブロック」の中で社員を順位づけする。各レベルを仮に上、中、下に分けると、業績とポテンシャルがともに上の社員が最も優秀で部門長の後継者ということになる。

ポテンシャルの測り方について「与えられた役割をこなすのにパンパンになっていて、これ以上は無理だと思うとポテンシャルがないとみなすし、逆に、まだ頼んでも仕事ができるような余裕を持ってやれる人かどうかを評価軸にしている」(大政氏)と言う。「9ブロック」は年に1回、各部門単位で実施されるが、大政氏は「組織の棚卸し」と呼ぶ。

「毎年見直し、今の組織にどういう人材がいるのか一目でわかります。これを見て、トレーニングを受けさせるとか別の部門に異動させて経験させることを考えます。

部門長が作成し、人事部長とビジネスリーダー(社長)が見て、最終的に本社のアメリカサイドと話し合って確定し、そのうえで配置を考えます。業績もポテンシャルも高い人を必ず置かなくてはなりません。なぜなら『あなたの後継者はいないじゃないか、あなたがいなくなったらどうするのか』という話になります。部門長のポストが動かず、後継者候補もちょっと仕事に飽きてくるだろうと思われるときは、国内の部長のポジションに異動させるか、アメリカサイドと話し合ってグローバルに異動させることもあります」