不労所得を夢見て会社員をしながら不動産投資を始める人が増えている。ゴールドマン・サックスに長年務めた投資家の田中渓さんは「不動産投資は物件の見極めが重要だ。不動産会社のビジネスモデルにはめられると、順調なのは最初だけで、億単位の借金が残ってしまう」という――。
※本稿は、田中渓『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
「してもいい借金」と「してはいけない借金」
借金には「してもいい借金」と「してはいけない借金」の2種類あります。ひと口に借金といっても、すべてがマイナスではないということです。
「してもいい借金」の代表格は、不動産を買うときに必要になるお金です。とくに会社員であればなおさら、一定程度の会社に一定程度以上勤務していれば信用力がありますから、お金を借りにくい自営業の人たちとは違って借金できることは非常に大きな「特権」です。
よくも悪くも安定しているため、年収が急激に上がることもないことを悲観する会社員は多いのですが、その安定感こそが借金することができる権利を生んでいると思ってください。
僕も、17年間勤めたゴールドマン・サックスに勤めている状態で人生最大の借金をしています。数多くの不動産投資を行い億単位のお金を借りています。
借金することは必ずしも怖いことではありません。超低金利時代が終焉を迎えつつあるとはいえ、引き続き日本の低金利は魅力的です。レバレッジをかけることへのリテラシーさえ備わっていれば、借りられるものは借りたほうがいい。億を超える人たちも、そう考えて不動産投資をしています。
一方で、暗号通貨や株式などに投資するときに多額のお金を借りるのは「してはいけない借金」です。暗号通貨や株式への投資は、あくまでも自己資金の範囲で、かつ失っても生活に困らない範囲でやるのが鉄則です。