成績トップ社員に与えられる褒賞とは
代表的なプログラムとしてはグループ企業の社長であるビジネスリーダー、部長クラス、課長クラスの3つの階層別の研修が有名だ。期間は3週間。各層から選抜された人材のみ受講できる。伊藤善廣氏はクロトンビルで2回受講した経験がある。
「人事部長のとき、最初は上級のファシリテーショントレーニングに参加しました。クラス全員で30人。コーネル大学教授による論理学などの学習以外に、4人でチームを組んで、アメリカのGEのビジネス部門に出向いて経営や人事課題について実際にファシリテーションをやるのです。結構レベルが高く、私の英語力では不安なので助けてもらいながらやりましたが、大変でした」(伊藤氏)
印象的だったのはクロトンビルの雰囲気だった。
「GEの社員にとって聖地のようなところで、そこに行くというだけでGEでのキャリアのゴールみたいに思っている人もいました。2~3週間のプログラム期間中、最低1日はジャック・ウェルチが予告もなしに来るのです。夕方、中庭でコーヒーを飲んでいると、突然、ヘリポートにスポットライトが当たり、上空からヘリコプターが舞い降りてきて、ウェルチが降りてくる。すると皆が『ウェルチだ!』と言って、アメリカ人の中には涙を流さんばかりに感激する人もいました」(伊藤氏)
ウェルチと直に話せるのも選抜人材の特権だ。この研修以外にも各部門のリーダーを育成する選抜型の研修プログラムも用意されている。たとえば人事部門にはHRLP(ヒューマンリソース・リーダーシッププログラム)があり、20代前半から後半の優秀な若手社員を世界中から選抜し、アメリカで2年程度の研修を受講させる。座学と実践のトレーニングを経た後は、誰よりも早くマネジャーに抜擢される。
その後は各事業会社の人事部門をローテーションで経験し、30代の若さで数千人規模の企業の人事部門のトップに起用されることも珍しくない。選抜・研修だけではなく、配置によって幹部を養成する明確な仕組みが存在するのもGEの特色だ。