人は65歳からでも成長できる!

2014年4月1日から定年制廃止の実施を決めました。高齢者雇用安定法によって65歳まで定年を延長することが義務づけられていますが、少子高齢社会において、何歳まで定年を延長するかという議論はふさわしくないように感じていました。定年制は、年齢を口実にした首切りと変わらないとさえ思っています。

ケア21社長 依田 平氏

当社は、企業理念のなかで「人間の尊厳の尊重」を掲げ、人を大事にして、人を育てることを重んじています。今回の定年制廃止は、スタッフの人権を守り、年齢によって働く意思や能力を限定しないという考え方にのっとっているのです。人は、何歳になっても成長できます。65歳で終わりとは考えていません。

とくに介護という仕事は、高齢者の自立した生活をサポートすることが軸になります。その仕事のなかでスタッフは高齢者に対して彼らの持っている可能性を信じて仕事に取り組んでいます。何もかも手助けするのではなく、日常の暮らしに寄り添うなかで、高齢者のできること、やりたいことに気づき、達成感が得られる楽しい毎日を形づくっていくのです。そんな仕事に取り組んでいるスタッフの可能性を年齢で区切ってしまうことはできません。働く側の可能性についても同じようにサポートしたいと思いました。

同時に、働く人たちの生活の保障、さらに、労働力の確保という点でも定年制の撤廃は大きな意味を持ちます。辞めなくてもいいとなると甘える社員も出てくるでしょう。でも、それで構わないのです。甘えることができる会社が存在し、そのなかで、優秀な社員の存在も際立ってくるはずです。日本経済の行方といった大きなテーマで考えてみれば、いつまでも働くことができる、生きがいのある毎日が送れる環境を整えれば、年金に頼らない暮らしの実現も可能となる。社会保障の行方を案じる前に、いつまでも収入を得ることができる社会の実現に、寄与することも経営者としての責任ではないでしょうか。

当然、定年制廃止によって、パートタイマーや中途採用に関しても採用年齢の制限はなくなります。70歳から入社することも可能です。将来的には、パートタイムを廃止して、全スタッフの正社員化を図りたいと考えています。競争社会のなかで平等な部分をつくる。安定した労働環境の整備は、安心して働けることに繋がり、最終的には「ケアの質」の向上へ結びつくと信じています。