最後の百貨店はどこを向いているか
京成百貨店から駅へ戻る途中、立ち寄った喫茶店の店主に水戸駅周辺の変化について聞いてみると、少し寂しそうにこう語った。
「自分の買い物は郊外のモールで済ませちゃうかな。京成には、水戸市外から来る人が多い印象だよ。昔はここも百貨店がたくさんあったんだけど、いまは少し寂しいね。水戸で賑わっているのは、駅前と泉町(百貨店周辺の地名)くらいだろうね」
最後に残った百貨店もまた、「街を歩かせる店」ではなく、「目的があって訪れる店」へと姿を変えつつある。
京成百貨店は2025年から2027年にかけて、2006年の移転開業以来初となる全館リニューアルを進めている。県内唯一の百貨店は、これからも時代に合わせて姿を変えながら営業を続けていくだろう。
ただ、その変化は、かつての駅前商業の復活を意味するものではない。京成が目指しているのは、「県全体から、わざわざ車で訪れる店」としての魅力を磨くことだ。かつて伊勢甚やダイエーが担っていたような、「水戸の日常を支える店」の役割とは、すでに異なる。
最後に残った百貨店もまた、街全体を引っ張る存在ではなく、目的があって訪れる場所の一つになった。大型店が一棟で街の日常を支え、歩く人の流れを生み出していた時代は終わったのである。


