駅前ビルにも空きテナントが…
取材日は、オーパ前ではご当地バンドの屋外ライブが開かれ、人だかりができていた。ところが館内へ入ると、上層階へ進むにつれて人影はまばらになり、空きテナントも目立つ。建物の外の賑わいは、そのまま館内へは流れ込んでいなかった。
旧丸井のマイムビルも様変わりしている。水戸市が4割を出資する第三セクターが管理してきたビルで、丸井閉店後は不動産開発会社マリモの主導で、クリニックやeスポーツ施設などが段階的に入居してきた。
現在の商業フロアに入るのは、アニメイトや楽器店、各種教室など。上層階はオフィスとして使われている。一つのファッションビルだった建物は、商業施設から複合型オフィスへと姿を変えていた。
では、人はどこにいるのか。
「なんとなく買い物」はもう成り立たない
空き区画が目立つ施設のなかにも、人が集まっている場所はあった。マイムビルのカードショップでは、ショーケースを真剣な表情で見つめる客の姿がある。地下のアニメイトにも、迷いのない足取りで店へ向かう人が次々と入っていく。そのほかのフロアを埋めるのは、クリニックや英語塾、オフィスだ。共通しているのは、目的が明確なことだ。
フロアからフロアへ、店から店へと歩き回る「施設全体を回遊する消費」は影を潜め、「特定の店だけを訪ねる消費」へと変わっている。エクセルの地下食品売り場も、マイムビルも、その意味では同じである。
その傾向は、県内唯一の百貨店となった京成百貨店でも見て取れた。水戸駅北口から北西方向に徒歩で20分。平日の昼間にもかかわらず、立体駐車場は最上階の7階まで車で埋まり、ほぼ満車に近かった。「車で来る百貨店」として、いまも高い集客力を維持している。
一方で、館内は変化を続けていた。「ルイ・ヴィトン」や「ティファニー」が相次いで撤退し、その後には「コーチ」や「マークジェイコブス」が入った。テナント構成は、高価格帯中心から、より裾野の広い価格帯へと変化していた。
また、取材当日は人気キャラクター「ちいかわ」の催事が開かれていた。今回歩いた商業施設の中では、最も人が集まっていた場所である。それでも、館内全体が賑わっているわけではなかった。催事会場には人がいても、その流れがほかの売り場へ広がっているようには見えない。人は「京成に来た」のではなく、「ちいかわを見に来た」。目的を果たせば、そのまま帰っていく。


