“おしゃれな街”として知られてきた代官山に、いま大きな変化が起きている。駅前の商業施設にはカップルよりも家族連れが目立ち、100円均一ショップに行列ができている。なぜ代官山は変化したのか。街歩きライターの杉浦圭がリポートする――。(後編/全2回)
代官山なのに“100円均一”が最も活況
前編では、代官山の駅前空洞化を見てきた。駅周辺に点在する空きテナント、人を呼び込めないフォレストゲート、通過されてしまう駅。だが、同じ駅前に、対照的な光景があった。
「代官山アドレス」だ。
2000年に開業したこの複合施設の中を歩くと、意外な光景が広がっていた。目に飛び込んできたのは、子供たちの姿だ。ベビーカー専門店、子ども向けの体操教室、子ども服のショップ――。かつて「ファッション感度の高い街」として知られた代官山のイメージとはかけ離れた、「子育て感度」の高さがそこにはあった。
訪れているのも、若者やカップルより子ども連れのファミリーが圧倒的に多い。
なかでも最も活気があったのが、100円均一ショップの「セリア」だ。客足が途切れることなく、レジには列もできていた。この日の取材で訪れた店舗のなかで、飛び抜けて集客できていた場所だった。2月上旬にはミスタードーナツが、さらに2月下旬にはカプセルトイ専門店もオープンし、子ども連れの家族が自然と立ち寄れるテナントが着々と増えている。
代官山アドレスで動いている経済は、外部から観光客を呼び込むものではない。「ここに住む人」の日常に根ざしたものだ。

