代官山は「変化の途上」にある

いまの代官山は、ガラガラでも廃墟化しているわけでもない。駅前の空きテナントは確かに存在する。だが代官山アドレスには子育て世代が集い、代官山T-SITEには国内外から人が訪れ、ログロード周辺では街歩きを楽しむ人の姿が絶えない。

問題は街全体の活力ではなく、その活力が「どこに」「誰に」向いているかだ。

かつて代官山は、全国から人を呼び込む消費の目的地だった。「ここでしか買えない」という特異点が、街の求心力だった。しかし今、街を支えているのは観光客ではなく、ここで暮らす住民たちだ。

駅前の空洞化は、その移行期における歪みの表れだ。かつての来街者を前提とした商業モデルが限界を迎え、増加した新たな住民層の需要にまだ追いついていない――その狭間に空きテナントは生まれている。

東急東横線・代官山駅の駅前。2021年6月12日撮影。
東急東横線・代官山駅の駅前。2021年6月12日撮影。(写真=Nesnad/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

フォレストゲートが体現する「どっちつかず」の違和感は、施設の失敗ではなく、街全体が抱える移行期の象徴だ。

代官山はまだ終わっていない。むしろ次の姿を模索している途中なのだ。駅前の空きテナントは、衰退の証拠ではなく、「来街者の街」から「住民の街」へと脱皮しようとする、その過程の痕跡である。その脱皮が完成したとき、駅前がどんな顔を持つのか――それが、代官山という街の次の問いになる。

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