ニュートイチーム時代に商品化した2つの商品をもとに解説しよう。ひとつは、「ターゲットの切り替え」。商品は、2013年に発売したスマホ型玩具「LINE TOWN MY TOUCH(ラインタウン マイタッチ)」だ。本体同士を接触させることでLINEと同様のメッセージやスタンプなどを交換できるほか、LINEキャラクターが登場するゲーム、キャラクターからメッセージやスタンプが届く機能もある。LINEのサービス開始は2011年6月で、一気に浸透し始めていた時期に冨永さんが注目したのはスタンプだった。

ヒットを生む「ずらし」と「掛け合わせ」

「親がスマホでスタンプを送り合っている。子どもからしたら楽しそうだし、自分もやってみたいと思いますよね。でも、なにか間違いがあったら困るから親は絶対に触らせない。上司のLINEにハートマークを送られたら、取り返しがつきませんから(笑)。それで、親のマネをできるおもちゃがあれば売れるだろうと企画されたのが、この商品でした。これは、大人の料理を真似るままごとと同じ発想です」

もうひとつは、「流行っているもの同士の掛け合わせ」。これで誕生した商品は、スマホやタブレットの液晶画面をキレイにする小型ロボットクリーナー「オートミーS」だ。

「お掃除ロボットのルンバって数万円もして、気軽に買えないじゃないですか。でも憧れがありますよね。一方で、当時タブレットを持つ人が増えていて、みんな指紋や皮脂汚れを服やタオルで拭いていました。その様子から、ルンバのような動きでスマホやタブレットの表面をきれいにする『オートミーS』ができました。これもメディアにたくさん取り上げられて、数万台は売れたと思います」

「大人にも刺さるロボット」を作りたい

冨永さんは、ニュートイチームから巣立った商品に携わりながら、タカラトミーのロボット商品「オムニボット」シリーズのリブランディングにも携わるようになった。それまでロボットに強い思い入れがあったわけではないが、簡単な会話ができるロボット「OHaNAS(オハナス)」のマーケティングや企画をするなか、その反響を目の当たりにして、ロボットの時代がくる気と直感した。

それ以来、ロボットに関心を持つようになった冨永さんを惹きつけたのが、2015年にユカイ工学が発売した「BOCCO(ボッコ)」。「家族をつなぐコミュニケーションロボット」がコンセプトで、スマホのアプリと連動させることで音声メッセージやテキストメッセージの送受信ができるのが特徴だ。

2015年発売の「BOCCO(ボッコ)」
画像提供=ユカイ工学
2015年発売の「BOCCO(ボッコ)」