「高市さんは好きだが、仕事はできねえよな」
しかし、朝日新聞の世論調査を丁寧に読むと、興味深い事実が見えてきます。内閣を支持しない理由として「首相が高市さんだから」と答えた人は、発足当初から一貫して3~4%にとどまっており、首相個人への嫌悪感が広がっているわけではないのです。割と愛されていて、良かったな高市早苗。
で、逆に急激に伸びたのは「政策の面」を不支持理由に挙げる人で、発足当初の5%から7月には18%へと跳ね上がりました。支持理由でも「政策の面」は当初の25%から13%へと半減しています。
これは「高市さん『個人の』人気」というよりは、高市早苗政権の「政策への信頼」そのものの崩壊だと読むべきでしょう。そして、「高市早苗さんだから応援した」層は、特に自由民主党支持のなかでも保守的な言説を含むイデオロギーを好み、政策が嫌で支持しなくなった層は「生活や消費税減税など、約束された政策が実現されていない」ことで自民党ごと高市不支持に回っている(自民党の政党支持率は5%から8%も下落)ことになります。
つまり、高市さんは好きだが仕事はできねえよなと感じた人から高市早苗政権を支持しなくなり、どちらでもなかった人が高市政権を不支持するようになった、という状況です。
この傾向は女性や無党派層でより鮮明です。女性の支持率は6月の57%から7月は46%へ急落し、不支持率が29%から40%に上昇して差を縮めました。無党派層の支持率も、今年1月まで6割前後あったものが7月は36%まで落ち込み、不支持率42%に逆転されています。
政策不信の核心は「物価」である
他方、自民支持層の内閣支持率は7月も87%を維持しています。その自民支持層が2割近くも飛んだことを考えると、高市さんの政策が良くて自民支持に回った人は、高市政権と自民党に裏切られた感覚になっていることでしょう。
つまり支持基盤そのものが崩れているのではなく、政権発足以来、高市さんへの支持を押し上げてきた女性・無党派層から、急速に見放されつつあるという構図です。
ちなみに、この無党派層からの支持が前回の解散総選挙で高市政権に316議席とかいう大勝利の議席数を与える原動力になりました。なんとなくみんな空気でサナ活ブームを起こしたものが、現在一気に剥げ落ちて逆噴射し始めた、というのが実態ではないかと思われます。
で、その政策不信の核心にあるのが、物価です。朝日の調査で、物価高への対応を「評価しない」と答えた人は57%にのぼりました。政府が示す統計だけを表だけ見れば、物価高はむしろ落ち着いて見えます。6月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコアCPIが前年比1.6%、生鮮食品・エネルギーを除くコアコアCPIも1.7%にとどまっているからです。
ところが、その裏で6月の国内企業物価指数は前年比7.1%という2023年3月以来の高い伸びを記録しています。原油高と円安が、石油・石炭製品(前年比22.8%)などを通じて、企業間取引の価格をじわじわと押し上げているのです。輸出物価は円ベースで前年比20.7%、輸入物価も同29.7%という大きな伸びを示しており、円安と資源高の両輪が価格転嫁圧力を強めています。
