横暴は「皇室典範改正」だけにとどまらない
次に、中道は綱領で「国家やイデオロギーのために国民を従わせる政治ではなく、人間の尊厳を守り抜く政治を」とうたい、ジェンダー平等を大きく掲げた。「女性天皇の誕生を何としても阻止する」意図が明白な今回の皇室典範改正は、中道自身の「目指す社会像」からもかけ離れている。
「政府案との考えの差が小さいので、修正案を出して条件付き賛成で良し」とか「法律の当面の危険性を和らげるため、やむを得ず付帯決議で歯止めを」とか、そんな理屈が成り立たない改正だったはずだ。
最後の指摘は、改正の内容とはやや趣が異なる。
高市政権は、日本国憲法の第1章に規定された天皇をめぐる問題でさえ、軽々と異論を封じて強引に成立させた。こんなふざけた政権のありようを見過ごせば、高市政権は今後、あらゆる与野党対立法案で、全ての異論を踏み潰し続けるだろう。
野党だけではない。一人一人の国民が政治に抱く「なんか違う」という思いさえ、片っ端からねじ伏せていくに違いない。影響は皇室典範にとどまらないのだ。
政治の話に限らず、強い者が力で無理を押し通し、国民が口をつぐまざるを得ない社会が、中道の「目指す社会像」に合致するはずがない。高市政権の暴走を止めるべく、国民を代表して立ち向かうのが、現政権に対峙する野党第1党の取るべき態度だと考える。
「批判ばかりの野党」から変われるチャンスだった
さて、このような皇室典範改正に、中道が賛成を選ぶことは、本来あり得ない。だからといって「ただ反対して、成立の責任は自民党に押しつける」という「たしかな野党」路線もとるべきではない。ではどうすれば良いのか。
中道は野党第1党として、高市政権との「目指す社会像」の違いに基づいた明確な対案を国会に提出し、二つの案を並行で審議させ、国民に比較させるべきだったと思う。
国会のパワーバランスだけに頼れば、確かに成立は不可能だ。しかし、野党案に賛同する国民世論を大きく喚起し、その後押しを得ることができれば、政府案の撤回や、野党案に沿った修正を勝ち取れる可能性は、決してゼロではない。今回の改正皇室典範は、その良い機会だったのではないか。
どうしてもそれがかなわず、対案が潰されたなら、その時は堂々と政府案に反対すればいい。「近い将来の総選挙で自民党に勝ち、中道が主導する政権で(対案を)成立させる」と訴えるのだ。そんな態度を「批判ばかりの無責任野党」とは、誰も言わないだろう。
本来の野党第1党のあり方とは、そういうものだと筆者は考える。

