かつて与党だった公明党と野党の立憲民主党はなぜあっさりと合流できたのか。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「与野党に分かれていた時から、両党の政策の違いが小さいことは政界の共通認識だった。そのため、原発や安保法制でもすんなりとまとまることができた」という――。
「希望の党」騒動の再来とはならなかった立憲・公明の合流
野党第1党の立憲民主党と、連立政権から離脱した公明党による新党「中道改革連合」が電撃的に誕生した。19日には新党の綱領や基本政策も公表され、そのスピード感は政界に「高市解散」に劣らない驚きを与えた。
両党の「基本政策の不一致」という観測を覆された一部メディアなどは、安全保障政策や原発政策をめぐり「立民に『変節』指摘」などと、立憲の党内の「不協和音」を予測した。だが20日現在、立憲の衆院議員148人のうち、新党への不参加はわずか2人(公明は全員が合流)。2017年に当時の野党第1党・民進党(民主党から改称)を分裂させた「希望の党騒動」のようにはならなかった。
なぜか。両党の政策の違いがもともと小さかったこともあるが、それ以上に各党の議員が、新党の綱領に定めた「目指す社会像」を共有でき、自民党政権が進めてきた社会像との対立軸になり得る、という確信を持てたのだろう。
筆者はこの場でも「多弱」の野党に対し「個別政策より『目指す社会像』でまとまる」ことを訴えてきたが、今回の合流は、それをほぼ体現している。衆院選の構図が「2大政治勢力による『目指す社会像』の選択」に近づいたことを、まずは歓迎したい。ただ、超短期決戦のなか、両党の支持層が政治家同様にまとまれるか、無党派層に支持を広げられるかは、予断を許さない。


