高市早苗首相が衆院を解散し、戦後最短日程となる衆院選挙へと突入した。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「会見で高市首相は『総理大臣が私でよいか国民に決めてもらう』と言っていたが、そんな理由はありえない。本当の目的は別のところにある」という――。
「総理が私でいいか」のための解散などあり得ない
高市早苗首相は23日、同日召集された通常国会の冒頭で衆院を解散した。2026年度予算の年度内成立をほぼ犠牲にしてまで「冒頭解散」を決断した大義はどこにあるのか。多くの国民が19日の高市首相による解散表明記者会見を見守ったが、その答えには正直あ然とした。
「高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか、主権者たる国民の皆さまに決めていただく」
衆院選は高市首相の人気投票だとでも思っているのか。いくら何でもそんな理由ではないだろう。そう思っていたら、いくつかのメディアでこんな報道があった。解散の目的が、立憲民主党(衆院選では新党「中道改革連合」から出馬)の枝野幸男・衆院予算委員長の交代だ、という見立てである。
予算委員長交代が解散の目的? にわかには信じがたいが、思い当たるふしがないわけでもない。今回は「枝野予算委員長」をキーワードに、高市首相の無謀な解散の背景を考えてみたい。
なぜ「衆院予算委員長」なのか
自民党は2024年秋の衆院選で少数与党に転落して以降、衆院予算委員長のポストを野党に奪われている。前任の石破茂政権の時は立憲の安住淳氏、高市政権では枝野氏が委員長を務めている。
野党に予算委員長のポストを奪われれば、予算委員会の議事が野党有利な形で進み、政権として最も重要な「予算の年度内成立」に影響が出るかもしれない――。被害妄想と言えばその通りだが、自民党がそのように考えて「予算委員長ポストを取り戻したい」と願うのは、一般論としては理解できる。


