認知症に薬の効果は期待できない

認知症、特にアルツハイマー病の原因については、長年「アミロイドβ仮説」が主流でした。アミロイドβというタンパク質が脳内に異常に溜まり、神経細胞を傷つけてアルツハイマー病を引き起こすとされていました。

ですが、近年では「炎症説」や他の仮説にも注目が集まっています。その背景には、アミロイドβを標的にした治療の限界が見えたことがあります。アミロイドβ仮説に基づいて、多くの製薬会社がアミロイドβを減らす薬をたくさん臨床試験しましたが、期待された効果は見られていません。

最近、認知症の人には脳内に慢性炎症があることがわかってきました。脳内でミクログリア(脳の免疫細胞)が活性化していて、慢性的な炎症が起きています。この炎症が神経細胞を傷つけ、病気の進行に関与していると考えられています。またアルツハイマー病に関係する遺伝子の中には、免疫や炎症に関わるものが多く含まれていることがわかってきました。これは、「炎症説」の根拠の一つにもなっています。