度重なる「値引き要求」に悲痛な叫び
「確かに、日産自動車は他の自動車メーカーよりも部品メーカーへの値引き要求が厳しい。だが、かつての日産自動車はその厳しい要求に合わせて、部品メーカーからの様々な提案に耳を傾けて柔軟に対応していた。それなのに、今の日産からはそうした姿勢が徐々に失われてしまっているように感じる」と。
平中氏は日翔会の会長を務めていた2020年に、同会の会員企業である200社以上に対し、「日産自動車とのビジネスにおいて困り事はないか」と聞いて、部品メーカーのリアルな声を集めた。
そして、それを基に改善提案書を作成。
「これが日翔会の総意だ。改善して根本的に変えてほしい。この声に応えなければ、部品メーカーは離れていく」と言って、当時社長を務めていた内田誠氏をはじめ日産自動車の全役員の前で改善を迫った。
改善提案書の中身は、
「生産計画の出し方がおかしい。日産自動車は内示数量と確定オーダーの変動が激しく、実際の生産数量ががくっと下がる。これでは生産体制をまともに組めない」
「値引き要請があまりにも厳し過ぎる。互いに利益のあるリーズナブルな価格になっていない」
「大切なのは売れるクルマを出すこと。サプライヤー(部品メーカー)からの提案を聞いてほしい」
といったものだ。
平中氏は数多くの注文を出した。「それらの改善要求は今でも変わらないが、いまだに実現されていない」と言う。
部品会社社長が感じた「トヨタとの差」
日産自動車のこうした消極的な姿勢に、部品メーカーは失望し始めている。2025年に日産自動車はサプライヤーミーティングを緊急開催した。参加したのは220社。重要な会合故に通常は社長が出席する。ところが、その中で社長が出席したのはヨロズのみだったという。
「こんなことは(リバイバル・プランを実施した)25年前にはあり得なかった」(平中氏)。
長年にわたって不信感が募り、日産自動車の求心力が薄れていることを証明する一件だ。対照的に、部品メーカーが期待を寄せるのは、トヨタ自動車との新規取引もしくは取引の拡大である。なぜなら、トヨタ自動車は部品メーカーの声に耳を傾けると受け止められているからだ。
2025年2月に、トヨタ自動車は東京でサプライヤー総会「トヨタサプライヤーズコンベンション」を開催した。約500社が参加し、「参加者はほぼ全社が社長だった」と平中氏は言う。ミーティング時間は8時間にもおよび、そのうち3時間は改善をテーマとした勉強会を実施。トヨタ自動車が部品メーカーから募った改善テーマについて、参加者同士で議論したのだ。
平中氏が最も驚いたのは、このミーティングにトヨタ自動車の佐藤恒治社長(当時)をはじめ、全役員が出席していたことである。この姿勢に、トヨタ自動車は部品メーカーの困り事をしっかりと聞いてくれると感じたという。
「トヨタ自動車は我々と本気で向き合ってくれていると感じる。残念ながら日産自動車とは大きな差を感じた」(平中氏)




