日産と部品メーカーは「運命共同体」

こうした厳しい環境に置かれた上に、部品メーカーへの発注量は減少していった。日産自動車の販売台数が2017年度のピークから2025年度までに260万台以上も落ち込んだからだ。これが部品メーカーの売り上げを直撃。

日産自動車への取引割合が大きい部品メーカーほど業績の低迷に苦しんでいるというのが現状だ。その顕著な部品メーカーの1つに、ヨロズがある。サスペンションを手掛けており、日産自動車との取引比率が60%を超えるヨロズは、中国市場の販売台数が2024年度までの5年間で6割も減った。

この状況に歯止めはかかっておらず、現場の改善活動では到底カバーできずに減損処理を余儀なくされた。結果、2023年度と2024年度の2年連続で最終赤字に沈んだ。「2025年度は正念場」とヨロズ社長の平中勉氏は語り、合理化活動などに努めて40億円ほどの営業利益を捻出して黒字転換したものの、厳しい状況は続いている。

部品メーカーは搾取の対象ではない。自動車メーカーと部品メーカーとは、いわば「運命共同体」である。部品メーカーにこれ以上厳しい要求を一方的に突き付けるなら、日産自動車の復活は遠のいてしまうだろう。

部品メーカーと良好な連携関係を築くために、日産自動車がまず心掛けるべきは、部品メーカーの声にもっと真摯に耳を傾けることだ。中でも、「本音」を聞き出すことに心を砕かなければならない。どの部品メーカーも日産自動車の復活に期待を寄せている。

自動車生産ライン
写真=iStock.com/Traimak_Ivan
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彼らは日産を助けようと必死だが…

日産自動車の業績が低迷したままでは、自社の業績も良くならないことは、誰よりも部品メーカーが理解しているからだ。そのため、彼らは自社の競争力を高めるためだけではなく、日産自動車にも付加価値を提供しようと日々、アイデアを練っている。

ただし、そうしたアイデアの大半は自社だけでは実現しない。そのため、部品メーカーは日産自動車に対して「もっと困り事に耳を傾けてほしい」と訴えている。現に、日本自動車部品工業会で会長を務めた経験もある元ニッパツ社長の玉村和己氏は、同社の名誉会長だった2021年に、「日翔会」の会長として次のように述べている。日翔会とは、日産自動車に部品を供給する主要メーカーで構成された協力会である。

玉村和己氏。ニッパツ社長のほか、日翔会会長を務めた。2021年に撮影。
写真=的野 弘路
玉村和己氏。ニッパツ社長のほか、日翔会会長を務めた。2021年に撮影。

「日翔会の役割は、会則によれば『会員相互の信頼を基に日産自動車と部品メーカーの相互の発展と親睦を図ること』だ。その通りなのだが、より大切なのは、日産自動車の経営方針を我々が部品メーカーとして理解し、同じ方向に向かって実践していくことである。

その意味で、日産自動車の経営方針や考えを日翔会の会員全体にどのように浸透させるかが、会長である私に課せられた大切な役目だと感じている」