「米飯食文化の広がり」が成長の礎になっている
寿司ロボットを売るイベントではなかったので、鈴茂器工がかかわる必要はなかったのかもしれない。しかし米飯食を広げていくという理念を実現するためには、意味のあるイベントだととらえた。
全農のコメについてのノウハウも活かしながら、現地の人が食べて美味しいと思える寿司を寿司ロボットで提供することに、鈴茂器工としても全力で取り組んだ。
「それで、けっこう日本米を買ってくれる契約がとれたようです」と、谷口社長は嬉しそうに言った。米飯食をシンガポールに広めることに貢献できたのだ。
シンガポールでも日本式の米飯食が広まっていけば、寿司ロボットが売れることにもつながっていくはずである。
寿司職人がいなくても店を開けるというロボットの合理性、スーパーマーケットという日常的な消費の接点、シェア8割の圧倒的な信頼、そして全農との協業に象徴される米飯食文化を自ら広げていく能動的な姿勢。
この4つの要因が噛み合ったことで、鈴茂器工の売上高は10年で77億円から158億円へ倍増した。創業者が描いた「寿司の大衆化」は、いまや国境を越えて実現されつつあるのだ。


