主戦場は回転寿司ではなくスーパー

寿司ロボットの価格が仮に100万円だとすれば、1個100円のシャリ玉を売って元手を回収しようとすれば1万個を売らなければならない。しかし物価の高いアメリカなら、シャリ玉1個が300円から400円で売れるので、2500個から3300個を売れば元が取れることになる。

寿司を売るために寿司職人を雇うとなると、人件費も高いので、かなりのコスト高になってしまう。だいいち、寿司職人の数自体がアメリカには少ない。寿司の需要があるにもかかわらず、寿司を簡単には売れないことになっていたのだ。

しかし寿司ロボットがあれば、簡単に店は開ける。元手も簡単に回収できるとあれば、ためらわず寿司ロボットを購入する。それが合理性を優先するアメリカ的な発想でもあるという。だから、鈴茂器工のアメリカでの事業が伸びてきている。

ただし、日本のように回転寿司店が増えている、というわけでもない。そういう店舗もあるにはあるけれども、圧倒的に寿司が売れるのはスーパーマーケットなのだという。

アメリカの高級スーパーで「寿司ロボット」が握ったシャリ玉を用いた寿司が販売されている様子。厨房には寿司ロボットが左手に3台、右手奥側に1台設置されている
提供=鈴茂器工
アメリカの高級スーパーで「寿司ロボット」が握ったシャリ玉を用いた寿司が販売されている様子。厨房には寿司ロボットが左手に3台、右手奥側に1台設置されている

「それも、日本のようにスーパー自体が機械を導入して寿司をつくって惣菜コーナーで売るというスタイルではありません。スーパーの一画にテナントとして寿司販売業者がはいっていて、寿司を売っています。日本でいえば、大手寿司店が寿司をパックで売っているイメージです」

ウォルマート4600店舗が抱える寿司売場

このスタイルがアメリカでは人気を集めつつあるという。回転寿司店に行くのは、「行くぞ」と気合いをいれなければならないし、だいいち、身近に店舗があるとも限らない。

スーパーなら買い物するために日常的に足を運ぶ場所でもあるし、寿司を買いに行くつもりはなくても、そこに並んでいれば、「食べようかな」という気になって手に取る。寿司を買っている人を見かければ、「自分も買おうか」ともなる。しかも、店で食べるより安い。ついつい手が伸びることになる。そういう環境で、アメリカでの寿司の販売は伸びている。

アメリカで伸びているのり巻きロボット
提供=鈴茂器工
アメリカで伸びているのり巻きロボット
アメリカでよく売れている手巻き系のお寿司のサンプル
提供=鈴茂器工
アメリカでよく売れているロール寿司のサンプル

売れているということは、アメリカで寿司が受け入れられている証でもある。売れる土壌ができつつあるのだから、寿司ロボットが売れるのもうなずける。

「アメリカ発祥で世界最大の売上高を誇るウォルマートは、全米に約4600店舗あります。ここにも寿司売場ができていますが、まだまだ全店舗ではありません。スーパーの様子を見ていると、これからも寿司市場は拡大していくと考えています」と、谷口社長も今後の拡大に期待しているようだ。そうなれば、ますますアメリカでの鈴茂器工の売り上げは伸びていくはずである。