「中国のスシロー人気」が追い風に
急伸しているのがアメリカだが、海外市場といえば、中国を抜きには語れないだろう。なにしろ、14億を超える世界2位の人口を抱えている国であり、コメを食べる文化のある国でもある。鈴茂器工としても、その可能性を過小評価しているわけではない。中国ビジネスについて、谷口社長は次のように語った。
「2026年3月期決算では、当社の中国での売り上げも順調に伸びています。ただ、去年、中国に行って感じたのですが、寿司の普及はまだまだです。ショッピングモールのフードコートに行っても、北京料理や上海料理などのローカル中国料理が主流です。そのなかに日本食もみられますが、寿司の普及度はまだ限定的であるという印象を受けました。
ただし、希望がないわけでもない。そうした状況も、ごく最近になって大きく違ってきてもいるからだ。谷口社長が続ける。
「日本の大手回転寿司チェーンの『スシロー』さんの店が大人気で、多い店では10時間待ちだったという話も聞きました」
2021年に中国に初進出したスシローは、2026年4月で100店舗を達成したと発表している。人気は追い風なので、まだまだ店舗数は増えていくはずである。このスシローの躍進を見て、ほかの回転寿司チェーンも進出を開始しているともいう。
「世界規模の“寿司の大衆化”」を目指す
日本やアメリカがそうだったように、中国でも寿司が大衆的な食べものとして受け入れられ、需要が拡大していくことが見込まれている。そうなれば、鈴茂器工のビジネスも急拡大していくはずである。
創業者が寿司ロボットを開発することで寿司を大衆化して消費を拡大したのと同じことが、アメリカで、さらには中国でも実現しようとしている。世界的な寿司の大衆化であり、米飯食の拡大である。
世界で米飯食を広めていく努力を、鈴茂器工は他地域でも積極的に取り組んでいる。ひとつの例を、谷口社長が説明してくれた。
「少し前のことですが、全農(全国農業協同組合連合会)と組んで、シンガポールの当社事務所に、現地の飲食店関係者などを集めてイベントを開催したことがあります」
日本産コメの海外輸出を増やそうという試みの一環で、まずは食べてもらって、その美味しさを実感してもらうのが狙いだった。ただ食べてもらうのではなく、日本食の代表である寿司で食べてもらうほうが注目度は高くなると考えたらしい。

