mixi全盛期のユーザー数を超えた
駒沢公園でチラシを配ってから11年がたつ。「みてね」の世界ユーザー数は2026年に3000万人を突破した。175の国と地域、7言語で展開され、利用者の約4割が海外だ。
「じわっと右肩上がりで伸びてきたのが『みてね』の特徴でした」
赤字続きだった収益もようやく損益分岐点に達し、黒字化が視野に入ってきた。今後10年以内にユーザー数1億超を目指すと、笠原さんは長期目標を掲げる。
2015年に「みてね」で写真や動画を撮影された0歳児たちは、いま小学5年生になっている。その子たちがやがて親になり、自分の子どもを「みてね」で共有する日が来るかもしれない――笠原さんはそんな未来を思い描く。
「子どもの写真や動画と、自分が子どもだった頃の写真や動画を見比べられたらいいなと思っていて。親と子の時間をリアルに実感しながら子育てができたら、最高に幸せじゃないかと」
「生涯プロデューサー」としての挑戦
世代を超えて愛情が循環するしくみをつくることは、「人類にとって大切な文化遺産になり得る」とさえ笠原さんはいう。その思いはビジネスにとどまらない。
2020年、笠原さんは個人資産10億円を拠出して「みてね基金」を設立した。子どもの虐待、貧困、教育といった社会課題に取り組む非営利団体への助成が目的だ。資金はその後16億円に達し、2025年には一般財団法人化された。「世界中の家族の心のインフラをつくる」というミッションは、アプリの外にまで広がっている。
いまも笠原さんは現場にいる。現在はMIXI取締役ファウンダー・上級執行役員の立場だ。泥臭い現場仕事を選んだ笠原さんは、「生涯プロデューサー」と自らを呼ぶ。mixiで人と人をつなぎ、「みてね」で家族の記憶をつないできた。
「チャンスがあればまた次の新規事業も立ち上げていきたい。いつの時代もマーケットを見ながら、どこにチャンスがあるか考えていきたいと思っています」
笠原さんはこれからも人と人の間にある「つながり」を見つけ、新しい事業を生みだすのだろう。



