「日本最大級のSNS」盛衰の本当の理由
mixiの登録者数は2012年の約2700万人でピークアウトし、下降傾向に入った。スマホを主戦場とするツイッターやフェイスブックといったSNSが急拡大したからだ。
SNSの盛衰には、人間関係の変化も影響すると笠原さんは説明する。
「mixiの初期ユーザーにとっては、サービス開始から7~8年が経過していました。大学生だった人たちは就職して、付き合いの範囲が変化する。マイミクが“古い人間関係”と感じた人たちもいたでしょう」
新しいSNSに、新しい人間関係が構築されていく面はたしかにある。しかも同時多発的に押し寄せた変化の波は、グローバル企業の資金力と大量のエンジニアが投入されていた。ミクシィとは桁違いだ。
2013年、笠原さんは37歳で社長を退任する。日本最大級のSNSを育てた創業経営者としては、あまりに早い決断に見えた。
「やりたいこと、やるべきこと、やれること」が重なった
「自分がやりたいこと、やるべきこと、やれること――新規事業を生み出すことにはこの3つが重なっていたので、ここに注力しようと決めました。社内ニーズとも一致するだろうと。ただ、社長のまま新規事業に取り組むつもりはありませんでした。本来は取締役も外したほうがフェアなのかもしれません」
取締役が新規事業の責任者を兼務すると、全体最適に反する場面が生じかねない。「予算を確保したい」「目標未達でも事業を継続したい」といった主観が、経営判断を歪めるケースだ。
肩書に執着するより、新規事業の実現に専念したいという思いが強かった。
「自分たちが考えたサービスが世の中に出て、ユーザーから『便利だ』とか『楽しい』とか言ってもらえるのはすごくうれしい。何ものにも代えがたい瞬間です」
学生時代から経験してきた新規事業の醍醐味。根っからのプロデューサーが語るビジネスの魅力は、ユーザーのよろこびを感じられるおもしろさだ。

