日本が捨てるべき思い込み

日本に必要なのは、中国AIを過小評価しないことだ。日本語データ空間の防衛を国家安全保障の課題として扱い、政府、自治体、企業、メディアが偽情報対応訓練を行う必要がある。重要インフラのサイバー防衛も、AIによる大量の偽情報、問い合わせ、なりすまし、異常検知の負荷を前提に見直すべきだ。

具体的には、政府発表の真正性を国民がすぐ確認できる仕組みを整える。金融、電力、通信、交通、医療、自治体は、偽情報とサイバー障害が同時に起きる訓練を行う。企業幹部や研究者を狙うなりすまし教育を経営層に広げ、メディアは危機時に「未確認」と「確認済み」を明確に分ける編集体制を準備する。

内閣官房は、外国による偽情報を含む影響工作が各国の世論や意思決定に影響を及ぼすため展開されていると説明する。また、サイバー対処能力強化法と同整備法が2025年5月16日に成立し、5月23日に公布されたとも説明している。この流れを、生成AI時代の危機管理に接続しなければならない。

AIセーフティ・インスティテュート(AISI)は、安全・安心で信頼できるAIの実現に向け、AIの安全性に関する評価手法や基準を検討・推進する機関である。日本は同盟国と協力しつつ、日本語の偽情報、企業秘密の流出、自治体の混乱に自力で対応する能力を持たなければならない。

ネットワークシステムの情報セキュリティの脆弱性を特定するセキュリティエンジニアのイメージ
写真=iStock.com/tadamichi
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本当に恐ろしいのは、中国AIが明日にも米国製AIを超えることではない。日本が「半導体規制があるから中国AIは止まっている」と思い込み、備えを怠ることだ。

規制は必要である。しかし、規制は相手の進化を止める魔法ではない。むしろ国産化を加速させることさえある。台湾有事より先に、日本の情報空間と意思決定を揺さぶる“AI侵略戦争”は始まるかもしれない。日本が守るべきものは、領土だけではない。社会が事実を共有し、冷静に決める力である。

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