世界では、いまこの瞬間にもさまざまな人権侵害が行われている。それらを監視・調査して、人権擁護の活動を行うNGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の東京事務所代表を務めているのが土井香苗弁護士だ。土井氏は、東大法学部3年生のときに司法試験に合格して、ニューヨーク大学で修士号を取った才媛。なぜ、あまり儲からないといわれる“人権”の世界に飛び込んだのか。田原氏が本音に切り込む!
【田原】土井さんは、中学から桜蔭だそうですね。桜蔭は東大に入る人も多い名門校。当時から東大を狙っていた?
【土井】いえ、全然。じつは私が通っていた小学校にはいじめがありました。そのまま地元の中学に入ると、自分もいじめられたりするかもしれない。それは嫌だなあと思ったのが中学受験をしたきっかけです。そういう理由だったので、最初は成績も普通でしたよ。塾に通い始めたら成績が伸びて最終的に桜蔭に受かりましたが、入学後、まわりは全国模試で上位に入っているコばかりで、記念にサインをもらおうとしていたくらいのレベルでした(笑)。
【田原】その後、東大の法学部に入学された。法学部を選んだのはどうして?
【土井】数学が苦手でした。理系は無理だから、文系の法学部に行こうと。
【田原】お話を聞いていると順風満帆の人生に聞こえますが、ご両親の関係がうまくいってなかったそうですね。さしつかえなければ教えてください。
【土井】両親が不和になったのは、中学ぐらいからです。父が母に追い出されて、家出状態になりました。
【田原】原因は何? お父さんの浮気?
【土井】違います。うちの親はすぐにカーッとなり、それを人に向けて爆発させてしまうところがあるので……。