【田原】親との関係はどうだったの?
【土井】私もよく怒りをぶつけられていました。ある日、大学から帰宅したら、私の部屋がめちゃくちゃになっていて、壁に貼っていたキムタクのポスターもびりびりに破かれていました。そのとき親は家にいなかったのですが、帰ってきたら恐ろしいことが起きる予感がして、当時高校1年生だった妹と一緒に逃げました。そのまま家には帰っていません。つねに抑圧されてきたので、いま振り返ると、もっと早く家出しておけばよかったと思います。
【田原】家出か。それはすごいね。住むところはどうしたの?
【土井】最初の1~2週間は友達のところにいさせてもらって、3週間くらいだったでしょうか。自分たちでアパートを借りました。お金がないから、とにかくバイトの日々。塾講師や家庭教師をしていました。
【田原】バイトで忙しかったのに、土井さんは司法試験に一発で受かりました。普通は勉強だけに集中していても、受かるのに数年かかるわけでしょう。本当にすごいと思うけど、そもそもどうして司法試験を受けようと思ったの?
【土井】母の影響です。「女は資格がないと生きていけない。とくにあなたのようなダメな人間ほど資格は必要。だから医者か弁護士になりなさい」と、子どものころから聞かされてきて。すごく嫌でしたが、ケンカしてもいつも勝てず、仕方なく司法試験の勉強をしていました。家出したのは、司法試験の2カ月くらい前。弁護士になるつもりはなかったのですが、そこでやめるといままでの勉強がもったいない気がして、とにかく受験だけはしようと。