好感度が最も高い国はドイツ
参院選は自民党の圧勝劇で終わった。「ねじれが解消できてよかった」と喜ぶのは、自民党と公明党ぐらいで、中国、韓国は無論のこと、安倍首相を危険人物に分類し始めているアメリカからも歓迎の声は聞こえない。
「失われた20年」で日本の国際的なプレゼンスは低下の一途を辿ってきたが、先の民主党政権と日本の右傾化を象徴する安倍政権の登場で、アメリカにまで警戒心を抱かれるようになってしまった。それは同じ敗戦国として戦後復興と高度成長を果たしながら、今なお世界から尊敬されるドイツとは対照的だ。
日本でバブルが弾けた20年以上前、ドイツは東西ドイツの統一によって重い荷物を背負った。旧西ドイツ国民の負担は240兆円を超えたという試算もある。当時の東ドイツの失業率は20%近く、1人当たりGDPは西ドイツと10倍以上の開きがあった。それが今やドイツ全体の失業率は4%台で、GDP格差は0.72倍まで縮まっている。この20年で東の吸収に完全に成功したと言っていい。
毎年恒例のBBC(英国放送協会)の国際世論調査によれば「世界によい影響を与えている」と、好感度が最も高い国はドイツ。昨年1位だった日本はカナダ、イギリスに次いで4位に後退した。ドイツの影響力を否定的にとらえた周辺国は金融支援の条件としてメルケル首相から厳しい緊縮財政を求められたギリシャぐらいだが、日本は中国と韓国から「世界に悪い影響を与えている」と否定的に評価された。周辺国との軋轢がそのまま数字に表れた格好だ。
敗戦国から経済大国へ、戦後同じような軌跡を描いてきた日本とドイツだが、この20年で、大きく差が開いたように感じる。なぜドイツは統合の負荷を乗り越えて国際的なプレゼンスを保持し続け、周辺国とうまく付き合っていられるのか。いくつか理由があると私は思う。
1つは占領政策で「アメリカ型の連邦制」を統治機構に取り入れたことだ。占領軍は2度とナチスのような独裁的中央集権体制が生まれないように、憲法に相当するドイツ連邦共和国基本法を制定して、ドイツの中央集権を完全に解体した。