日中間に“偶発的な戦争”が起こる

外国人記者クラブで、「従軍慰安婦問題」発言の釈明をする橋下大阪市長。(ロイター/AFLO =写真)

日本の政治家の発言が国際的にも物議を醸すケースが目立っている。

五輪招致に絡んで「イスラム世界はケンカばかり」と発言してヒンシュクを買った猪瀬直樹東京都知事。橋下徹大阪市長は「従軍慰安婦は必要だった」と言い、米軍に風俗産業の利用を勧める発言をして、批判と抗議の集中砲火を浴びた。両人とも当初は「(発言の)真意が伝わってない」と反発しながらも、結局は謝罪に追い込まれてしまった。

中国韓国のみならず、アメリカの新聞メディアにおいても、「日本の右傾化」を警戒する論調が強まっている。日本維新の会の共同代表である橋下市長と石原慎太郎氏、安倍晋三首相の3人をひと括りにして、「日本の中枢が右傾化している」と指摘する向きも出てきた。

石原氏の暴走ぶりはもはや伝統芸だから誰も驚かないが、一国のリーダーである安倍首相や次期首相候補と目される橋下市長が同じことを言ったら、そうはいかない。日本の指導部が「日本全体が右傾化している」と国際社会から危険視されることは、日本にとって得策ではない。

アメリカの懸念は、日本がかつての全体主義国家に戻ることではない。

彼らが恐れているのは、日中間に“偶発的な戦争”が起こることだ。つまり安倍政権下では、偶発戦争の危険性もありうると見ている。もし戦争が起これば、アメリカは日米安全保障条約に基づいて日本側に加担せざるをえなくなる。新たな米中関係を築き、日本とも友好的な関係を保ちたいアメリカは、自らが戦争の当事者になることを非常に恐れている。ゆえに、日本の“右傾化”に対して警戒感を高めているのだ。

安倍首相は、「中国や韓国との歴史の見直し」にも言及している。日中、日韓の歴史を見直すということは、原爆投下、東京裁判、そしてアメリカの占領統治下時代の政策を見直すことにもつながる。そこにはアメリカにとって、不都合な真実も封印されている。

日本が右傾化することで、過去が掘り返され、自分たちがやってきたことを全否定するような動きが出てくることに、アメリカが憂慮している一面もある。