※本稿は、柴那典『ヒットの復権』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
2025年は「ミセスの年」だった
そして、2025年のMAJ(MUSIC AWARDS JAPAN)で初代「最優秀ジャパニーズソングアーティスト賞」に輝いたのが、Mrs. GREEN APPLEだ。
2025年はミセスの年だった。デビュー10周年を迎え、記録ずくめの活躍を見せる一年となった。ビルボードジャパンの総合ソングチャート「Hot 100」の2025年の年間TOP10は以下のような並び。ミセスが上位を占拠している。
2位 Mrs. GREEN APPLE「ダーリン」
3位 ロゼ&ブルーノ・マーズ「APT.」
4位 米津玄師「IRIS OUT」
5位 Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」
6位 HANA「ROSE」
7位 サカナクション「怪獣」
8位 Mrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」
9位 Mrs. GREEN APPLE「ビターバカンス」
10位 米津玄師「Plazma」
1位の「ライラック」を筆頭に、2位の「ダーリン」などTOP10に計5曲がランクイン。ヒットチャートでは「一人勝ち」とも言える圧倒的な存在感を見せた。
数字も破格だ。ビルボードジャパンの集計では7月に全楽曲の国内累計ストリーミング数が100億回を突破。国内アーティストとしては史上初の快挙となった。7月にリリースしたベストアルバム『10』の売上は100万枚を超え、配信もCDも驚異的なセールスとなった。
ファン層が老若男女に広がった
ライブも記録的な動員を樹立した。7月26日・27日に横浜・山下ふ頭の特設会場にて開催した野外ライブ「MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE~FJORD~」は2日間で10万人、オンライン配信やライブビューイングを含めて計35万人以上を動員した。10月から12月にかけて行った5大ドームツアー「BABEL no TOH」では全5都市12公演を開催し、合計で55万人を動員した。
ミセスのメガヒットの大きな特徴は、それが1曲だけのバズにとどまらないものだったということだ。彼らのファン層は老若男女に広がった。バンドを率いるボーカル・ギターの大森元貴を筆頭に、メンバー3人のキャラクターが浸透した。それが社会現象的なヒットに結びついた。
様々な偉業を成し遂げたアニバーサリーイヤーの終盤に、彼らに会うことができた。大森は一年を振り返ってこう語っている。
「おかげさまで充実した日々で、制作へのモチベーションも高い一年でした。25年はデビュー10周年ということで、年初から応援してくださっている方々に感謝の気持ちを届けようという話をメンバーともしていて。そういった思いを噛みしめながら駆け抜けた一年でしたし、実際に一つ一つのことを丁寧に皆様へ届けられたという自負もあります」(『日経トレンディ』2025年12月号)
なぜミセスは、ここまで「勝った」のか? 日本を代表するアーティストにまで駆け上がったのか?

