「あの大きな目に見られている気が…」
消しゴムのように汚れを削り取るメラミン樹脂のスポンジは、当時、劇的に落ちる清掃用品を企画していた同社にとって理想の商材だった。すでに複数のブランドが流通していたため、自社商品に存在感を持たせる見せ方を工夫し、商品を打ち出した。
それが、「激落ちくん」という覚えやすいネーミングと、インパクトのあるキャラクターデザインだった。
「販売製造している当社のことは知らなくても、あの大きな丸い目と太い眉毛の激落ちくんのキャラクターについてはご存じの方が多いかと思います。当初、デザインとネーミングに関しては社内で否定的な意見もあったようですが、『おもしろい企画はまずやってみよう』というのが当社の姿勢なので、そのまま発売まで進めたという経緯がありました。
商品のキャラクターが非常に立っているので、お客様に手に取っていただける好機につながっていると思います。ホームセンターで買い物されているお客様からは、あの大きな目に見られている気がして、素通りできず商品の前で立ち止まって買ってしまうという声もいただいています」
「激落ちくん」は後発組だったが、口コミで徐々に広まり、複数の先発ブランドを抑え業界で5割以上のシェアを獲得するまでに成長した。
「激落ちくんなら損しない」と思わせる
一度見たら忘れられない訴求力のあるイラスト、強力な洗浄パワーを連想させる商品名という、際立った商品の独自性が、「激落ちくん」を同社の看板商品に押し上げたことは明らかだ。
そして、もう一つ、激落ちくんという強いブランド力を作るうえで重視したのが、「商品に対する信頼の醸成」だという。
「先行商品が無数にある清掃用品市場で、『激落ちくん』はメラミンスポンジという素材だけで勝負しなければなりません。その分、性能や機能の良し悪しがよりダイレクトに伝わるので、高品質を維持することは必須です。これを実践することで、結果的に『激落ちくんを買っても損をしない』という商品への信頼につながり、数字に反映されたのだと思います」
「激落ちくん」をはじめ、さまざまなメラミンスポンジが販売されているが、洗浄力や耐久性といった性能にそれぞれ差がある。消しゴムのカスのようにボロボロしてすぐに消耗してしまうスポンジは、内部の骨格の構造の強度に問題があり、洗浄力や耐久性が弱い。
「激落ちくん」は汚れ落ちが良いうえに、価格は定番タイプで250円(税込)と手ごろだ。消費者が欲しい商品価値が「激落ちくん」には詰まっている。それがロングセラーたる理由といえる。


