認知度90%だからこその危機感
業界ナンバーワンシェアを誇る「激落ちくん」だが、販売から約26年間にコマーシャルを打ったのは1度だけで、基本的に口コミだけで認知度を伸ばしてきたという。5年前よりSNSの影響が顕著に表れ、認知度は80%に達した。そこから徐々に90%まで上昇し、ほぼ誰もが知っている国民的ブランドの地位を獲得した。
この域に到達すれば、販売努力をしなくても売れるのではないか、と問うと、竹下さんは首を振り、「むしろ、90%の認知度だから難しいのです」と話す。
ここ数年、わずかだが認知度が下降傾向にあり、業界トップの座から追われる立場としてプレッシャーや危機感を抱いていると、竹下さんは話す。
「売れ行きを左右する理由として、住宅環境の変化も一つあります。掃除やお手入れがラクなように、トイレの便器や洗面所のミラー、フローリングなどに艶出しや抗菌剤などがコーティング加工されている住宅が増えています。『激落ちくん』はコーティングされている部分に傷をつけてしまうので、そういう住宅には使えないのです」
100均の「消しゴム」で子どもに照準
トップブランドの激落ちくんであっても、「食品と同じように、鮮度がないと売れない」という。完成品の「激落ちくん」を、今以上に売れる商品にする難しさ。さらに住宅環境の変化だけでなく、顧客層の高齢化という課題もある。方策はブランディング戦略の見直しだと竹下さんは話す。
「消費者を飽きさせないことが大切なので、パッケージのキャッチフレーズや棚に陳列する方法を工夫して、商品の見せ方を随時変えていっています。また、これまでターゲット層は40、50代以上の女性が中心ですが、若年層にアプローチしていくことも積極的に取り組んでいこうと考えています」
同社が開発し、100円ショップで販売している「まとまる消しゴム(激落ちくん)」は、若年層をターゲットにした製品の一つだ。小学生の間で人気の商品で、激落ちシリーズの最初のタッチポイントとしてロングセラーとなっている。
「当社に入社する新入社員に聞いても、消しゴムは使っていたけれども、掃除をしたことがないので、激落ちくんのメラミンスポンジは使ったことがないと答える20代が大半です。若い世代も自活すれば掃除をしますよね。彼らにどうやって『激落ちくん』を使ってもらうか方策を考えているところなんです」


