親自身の老後が危ういなら奨学金の活用を
そう話すと、真理恵さんは「でも、子供には借金を負わせることには抵抗があります。これまでも借金は住宅ローン以外して来なかったわけですし……」と、ためらいを見せました。
「子供に負担をかけたくない」という親心は素晴らしい。ただ、その一心で頑なに借りず無理して頑張りすぎた結果、親自身の老後資金が足りなくなり、子供に泣きついてしまうケースも度々見てきました。
安易に奨学金を借りることは推奨できませんが、数十年後に子供たちに援助を求めることになるくらいなら、今のうちに制度に頼ったほうがお互いのためではないでしょうか。実際、お二人の場合、奨学金を借りずに①でいけば老後が危うくなるのはシミュレーションが明示していますから。
私がこう話すと、真理恵さんは「後で子供たちに迷惑がかかるよりは」と、奨学金の申請に前向きになりました。良平さんも2パターンのグラフを見て納得したのでしょう。お二人は腹をくくって「家計の負担を軽減したいから、本当に必要な分だけ借りてもらえないか」とお子さんに話をしました。お子さんは了承してくれ、月々7万円の奨学金を申請することに。
退職後はややスピーディーな運用スタイルに
今、お二人は家計改善で生まれた黒字額4万7000円を使って、少しずつ積み立て投資を始めています。ただ、退職一時金が入ったら、投資の額を増やし、ややスピーディーな運用スタイルにシフトしていくことを視野に入れています。
投資の鉄則は「長期・分散・積立」。退職金が入ったからといって一気に投資に充てるのは厳禁です。今まで堅実にやってきたのに、退職金の大部分をまとめて投資につぎ込み、その直後に相場が暴落して損をするケースは少なくありません。相場が高い時に買ってしまう“高値掴み”をしてしまうリスクもあります。
良平さんにしても、そうしたケースは回避したい。ただし、老後資産を貯めておらず、60歳頃から運用を始めるとなると、あまりに細々と積み立てをしていくと寿命との兼ね合いでせっかくのお金を生かせられなくなる可能性もあります。
そこで、資産形成のスピードをあげたいのであれば、成長投資枠も使いながら、NISAの月の上限額30万円ずつ積み立てていったり、10万円ずつ積み立てて時々スポット買いをすることもできることをお伝えしました。いずれにしても、長期・分散・積立のセオリーは守る形になります。
今後の“頼みの綱”は、14歳下の真理恵さんのパート収入になります。そして、良平さんがどこまで就労を続けられるか。
パートから正社員への変化は、気持ちも体力も追いつかないかもしれません。現在の真理恵さんのパート収入は月8万円ですが、それをいきなり20万円に増やすのは心理的にも抵抗が大きいでしょう。
ただ、老後資金を貯めるためには、現在の1.5倍くらいは働いて14万円ほどは稼いでおくほうが安心です。お二人でゆっくり老後の生活を楽しみたいなら、良平さんの再雇用が終わる65歳までの5年間は思いっきり働くのもいいかもしれませんね。



