退職金減の危機は固定費を見直すチャンス

早速、“大手信者”の良平さんに格安スマホの仕組みとメリットをお話しました。

「格安スマホは大手から電波を借りてサービスを提供しています。私も15年前から、月額利用料が1500円程度の格安スマホを使っていますが、問題なく電波もつながりますし、特段困ることはありませんよ。それと、今契約しているネット使い放題のプランですが、現在良平さんは月何ギガ使ってらっしゃいますか?」

良平さんも真理恵さんも月の使用ギガ数を把握しておらず、その場でマイページにログインして確認していただくと、どちらも月に2ギガに達しないほど。にもかかわらず、ギガ使い放題のプランに入っていました。そこで、格安スマホに乗り換えるなら、ご夫婦だけでも最低限のギガ数でも足りる格安のプランを選ぶ方法があることを提案。

また、例えばY!mobileの親子割を使えば、月30GBも使えるプランでも一人3000円程度で済むこともお話ししました。4人分のスマホを格安スマホに替えてプランも見直すと、スマホ代だけで1万2000円程度になります。こうお話しすると、ならばと乗り換えを決意。結果的に、Wi-Fiと合わせて、通信費は3万5000円から1万7000円へと大きく減らせました。

生命保険料は、夫婦ともに国内大手の貯蓄があり、死亡保障、医療保障、がん保障もついたパック型商品に入っていました。その額、トータルで月7万円となかなかの高額。それを他社の掛け捨ての商品に見直しをしました。良平さんは年齢が上なので収入保障を高めに設定し、死亡保障と合わせて総額3万円ほどに。あとはご夫婦の医療保険とがん保険をメインに見直し、ご夫婦で3万7000円に減らしました。

そのほか、自動車に乗る機会を少し減らし、日用品も削りました。食費や被服費などの変動費はもともと切り詰めていたので、これ以上カットすると生活の質が下がる懸念もあり、手をつけないことに。

結果的に、総計6万1000円を家計から削減しました。53万円の収入に対し、家計改善後の支出合計額は48万3000円で、収支の差額は4万7000円の黒字です。

良平さんは定年後、嘱託社員として手取り月収が約30万円に減額され、世帯収入は真理恵さんのパート代と合わせて38万円になる予定です。

住宅ローンは定年退職と同時に完済するのでアフター支出からさらに7万2000円が減り、定年後の収支はマイナス3万1000円の予定に。退職金の一部が年金形式として支払われるため、家計はプラスマイナスゼロになる見込み。また、真理恵さんもパートを増やしていく予定だそうで、今より5万円パート収入が増えれば安心でしょう。

資産運用するなら教育費と運用原資は5:5

さて、家計が整ったところで本題です。退職金をどう割り振るか。

結論として、退職一時金の半分程度を手元に残し、残りを大学費用に充てることになりました。学費の不足分は、奨学金の申請を活用します。

検討材料のため、2パターンのライフプラン表を引きました。

① 100%教育費に全振りするプラン
② 教育費に50%、資産運用に50%で、一時金の半分程度を手元に残すプラン

この2つをシミュレーションして比較すると、②の資産寿命のほうが大きく延びたのです。そして①の場合、相当家計が厳しくなります。教育費を出しきった後に、さあ老後資金を貯めようといっても、原資となる年金が生活費でほぼほぼ消えてしまいますし、時間を味方に増やすこともできません。

将来の教育、学生ローン、奨学金のためにお金を節約するという概念
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資産寿命は、運用するか否かで、大きく変わってきます。運用せず、預貯金で持つなら、退職金は教育費と生活費で減る一方でしょう。しかし運用するなら、預貯金以上の利回りが期待でき、長く持つほど増えることも期待できます。そうするためにも、まとまった原資を確保するため、退職一時金の半分は残しておきたいところ。そのため、奨学金の利用も視野に入ります。

違う視点でも見てみましょう。奨学金を借りると、1.6%~2.5%の金利(支出)が余計に出ていきますが、運用すれば年間3%~5%の利回り(収入)が期待されます。[ys6.1]出ていく金利と入ってくるリターンでいえば、リターンのほうが2倍[ys7.1]ほど大きいですよね。そう考えると、しっかり投資をしていくなら奨学金を活用して手元に資金を残しておくという考え方は合理的な一つの考え方です。

これは住宅ローンにもいえることです。早く完済したいからと、退職金の一部を使って繰り上げ返済される方もいらっしゃいますが、ローンの金利と運用利回りを比較し、運用のリターンのほうが大きければ、あえてローンを返済せず、手元に原資を残して運用していく方が資産寿命が長くなります。